法人向けに強みを持つインターネット接続サービス大手のンターネットイニシアティブ(IIJ)の株価が、業績の好調推移を背景に反転上昇を鮮明にしてきた。今期の業績の行方と株価の動向を探った。
IIJが5月15日に発表した2008年3月期の連結決算(米国会計基準)は、売上高668億円(前々期比17%増)、営業利益47億円(同36%増)、税引き前利益43億円(同13%減)、純利益51億円(同4.3%減)となった。
好業績の背景となったのは、大中堅企業および官公庁向けに、信頼性および付加価値の高いネットワーク関連サービスを開発し、2007年6月に買収して100%子会社化したハイホーの個人向けインターネット接続サービスの拡大も寄与した。ただ、大型ネットワークシステム構築案件で、人材不足の問題などからやや遅れが生じ、売上高計上が今期にずれ込んだことなどから、売上高は会社期初予想に比べて未達となった。しかし、ネットワーク構築後に発生する利益率の高い運用サービスが下期高水準で推移したことなどが寄与した。
2009年3月期の連結業績予想は、売上高785億円(前期比17%増)、営業利益52億円(同9%増)、税引き前利益47億円(同7%増)、純利益52億円(同0.5%増)を見込んでいる。会社側では、前期好調に推移したシステム構築の引き合いは堅調に推移すると予想しているものの、景況感悪化の可能も考慮して、かなり保守的な見通しとなっており、先々上方修正の可能性が高いといえる。また、純利益が大きく伸び悩み、前期水準に比べ横ばい水準に止まるのは、新規事業を手掛ける子会社群の損失が膨らむことが要因で、既存事業の収益成長力に直接関係するものではない。
同時に同社は、2011年3月期を最終年度とする中期経営計画を明らかにした。それによると、最終年度の売上高1000億円超、営業利益100億円規模を目標としている。この目標を達成するために、ストック型ビジネスのクロスセリング(ひとつの顧客に提供するサービスを増やし、顧客単価上昇へつなげることなど)を活用し、システム構築での収益拡大、新規事業の貢献などが骨子となっている。法人・個人市場を問わず、今後インターネットの利用が一段と深化するのに従い、接続でのブロードバンド化需要が増大することを背景に、利益率の高い受注が拡大するものとみられる。
IIJの株価は3月17日に年初来安値の27万円で底打ちした後上昇に転じ、回復基調に向いてきた。その後、5月12日に31万5000円で2番底をつけて以降再び上昇が加速し、先週末5月30日には終値で38万1000円まで上昇している。今期の予想連結PERはいぜんとして15倍台とインターネット・IT関連銘柄としては、かなりの割安水準にある。今後、中期的には、1月4日につけた年初来高値の44万7000円を目指した展開が期待できそうだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス