PCペンタブレット大手のワコムの業績が順調な推移を見せている。前期の2008年3月期の連結業績は、ほぼ従来の会社予想通りの水準で着地した模様で、引き続く2009年3月期の業績も順調な成長が見込まれる。株価は2月下旬以降、21万円を軸に中段もちあいの状態となっていたが、4月30日予定の連結決算発表を前にして上放れる可能性が高まってきた。
ワコムは2008年3月期の連結業績について、売上高370億円(前々期比28.5%増)、営業利益54億円(同18.3%増)、経常利益54億5000万円(同17.5%増)、純利益32億8000万円(同15%増)と見込んでいるが、ほぼこの水準で着地したもようだ。
来期の2009年3月期の連結業績については、引き続きプロフェッショナル向け製品の「Intuos3(インテュオス・スリー)」の世界的な販売拡大、コンシューマ向けペンタブレットの新ブランド「Bamboo(バンブー)」シリーズのより一層の認知拡大とチャンネル販売促進、コンポーネントビジネスの拡大的成長。液晶一体型タブレットの販売拡大や新製品投入に加え、アジア圏の市場開拓などを通して、事業基盤の整備や新製品・新規事業を積極化していく。連結経常利益水準では60億円台半ばが十分達成可能なターゲットとなりそうだ。
同社の大きな特徴は、?独自開発の電磁誘導方式のセンサー技術はPC関連市場で圧倒的に強みを発揮しており、その特許面、技術面から他社に比べて優位性が非常に高い?「ペンタブレット・デュアルタッチ」でノートPC市場の開拓の余地が各段に広がったこと――にある。さらに、「ウィンドウズ・ビスタ」の普及は事前の予想に比べてやや緩やかながら順調な拡大を続けていることから、これも業績向上への支援材料となりそうだ。
最近では3月10日に、ワコムが提供するセンサーシステム「ワコム・ペンタブレットテクノロジー」が、2008年5月から世界各国で発売される医療機関向けモバイルPCの入力インターフェースとして採用された。このPCは、ロイヤルフィリップスエレクトロニクス(本社・オランダ)が開発した「クリニスケイブ」だ。
ワコムの株価は、「ウィンドウズ・ビスタ」が発売された当時の2007年1月22日に40万6000円の上場来高値を付けた。その後は全般相場の下落に連動してほぼ一貫して下落トレンドを強いられてきた。しかし、業績自体は順調に拡大基調を続けており、上場来高値の40万円水準に比べて約半値近くの時価水準は、非常に割安感が強いといえる。
日足チャートで見た株価は2月下旬以降、ほぼ21万円を軸に中段もちあいの状態にあり、それが徐々に煮詰まりつつある。徐々に下値を切り上げつつあり、株価が上に放れる可能性がたかまっている。さらに、株式需給も同社株の先高観を物語っている。3月28日申し込み現在の東証1部の信用残高は、売り残高1万221株、買い残高1万638株では信用倍率1.04倍と売り残、買い残は拮抗している。中期的には30万円台回復に十分期待が持てそうだ。
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