全体相場の下落傾向に歯止めがかからず、日経平均株価が1万5000円を巡る攻防となっているなかで、ニコンの株価は好業績を背景に長期上昇トレンドを崩すことなく再び4000円台に乗せて年初来高値を射程圏にとらえてきた。
同社は11月に2008年3月期の9月中間決算の連結決算を発表したが、これと同時に2008年3月期通期の連結業績の上方修正を発表した。売上高を従来予想の9300億円から9480億円(前期比15%増)へ、営業利益1140億円から1270億円(同25%増)へ、経常利益1020億円から1150億円(同28%増)へ、純利益620億円から700億円(同28%増)へとそれぞれ上方修正した。
半導体メーカーの設備投資の伸び悩みを受けてステッパー(半導体露光装置)の販売台数は横ばいの推移となったものの、主力商品のデジタルカメラが国内外で順調に売り上げを伸ばしたことが大きく寄与した。
デジタルカメラを中心とした映像事業の9月中間期の売上高は、2702億円(前年同期比31.4%増)、営業利益は387億円(同2倍)と非常に好調な結果となった。これは、デジタル一眼レフカメラで、エントリー機種の「D40」や、その姉妹機である「D40X」、さらにミドルクラス機の「D80」、ハイアマチュア向けの「D200」がいずれも好調な売れ行きを示したことによる。下期を含めた2008年3月期通期の映像部門の売上高を5500億円(前期比22.2%増)と見込んでいる。一眼レフカメラの2008年3月期の販売台数については300万台(前期比43%増)、同交換レンズは400万台(同51%増)と大幅な増加を見込んでいる。
さらに、この11月に入って新発売したデジタル一眼レフカメラのハイエンド機種の「D3」と「D300」の月間生産能力を、それぞれ月産8000台から1万台(D3)へ、6万台から7万台(D300)へと引き上げる。これに伴って通期の業績予想がさらに上方修正される可能性も浮上している。
外国証券のアナリストは「定年退職時期を迎えている団塊の世代を中心に10〜20万円クラスのデジタル一眼レフカメラの販売が好調に推移している上に、競争相手が日本メーカーに限られる海外市場での順調な成長が想定されるため、来期に当たる2009年3月期の連結営業利益は1500億円に乗せる可能性が高まっている」としている。営業利益1500億円、株価4000円として試算した来期の連結PERは19倍と割高感は払拭される。
同社の株価は、10月11日に4270円の年初来高値まで買い進まれたものの、その後は調整トレンドとなり、11月28日には3300円まで下落した。しかし、好調な業績見通しや、デジタル一眼レフカメラの増産、8月にインドで販売子会社の営業をスタートさせることなどが評価され、株価も全体相場に逆行高するかたちで力強く上昇。先週末の21日には高値引けで4090円と4000円台に乗せてきた。今後は、引き続く来期の好業績見通しを背景に株価面でも年度末にかけて5000円乗せも十分期待できそうだ。
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