再び上場来高値更新、どうなる任天堂の株価

 任天堂の株価が新たなゾーンに突入してきた。大阪株式市場で10月2日、7月26日につけた上場来高値6万1800円を更新。同月4日には一時、6万4900円まで買い進まれ、一部には“株価7万円説”も浮上してきた。“超値がさ株”として株式相場をリードする任天堂の今後の株価動向と業績推移を探った。

 エンターブレイン、米NPD、独GfKがそれぞれまとめた日米欧市場での家庭用据え置き型ゲームの販売台数を合算すると、任天堂のwiiは2006年11月の発売から7月末(日本は8月末)までの累計が902万台となった。マイクロソフト社のXbox360の880万台、ソニーのプレイステーション3の370万台を引き離し、世界トップに立ったことになる。

 これまでの家庭用据え置き型ゲーム機の累計出荷台数では、2000年発売のプレイステーション2の1億1800万台が最高記録。wiiはいまのところ、これを上回るペースとなっている。

 外国証券のアナリストは任天堂の今後の業績について「ここにきてゲーム機器サイクルが長期化してきたことにより、一人あたりのハード・ソフトの収益拡大余地が高まる傾向にある」としている。

 同社は7月25日、2008年3月期の連結業績について、売上高を従来予想の1兆1400億円(前期比18%増)から1兆4000億円(同45%増)へ、営業利益を従来予想の2700億円(前期比19%増)から3700億円(前期比64%増)へ、経常利益を従来の2900億円(前期比0.4%増)から4100億円(同42%増)へ、純利益も従来予想の1750億円(前期比0.4%増)から2450億円(同45%増)になりそうだと、それぞれ大幅に上方修正を発表した。

 また、2008年3月期の年間配当を従来の700円から960円と260円もの増配も合わせて明らかにした。

 こうした、売れ行き好調に支えられた業績の順調な拡大を評価して株価も再度上場来高値を更新してきた。しかし、一部関係者のあいだでは株価の先行きに関する懸念も出ている。

 市場関係者からは「7月に2008年3月期の連結業績を上方修正した際に、想定為替レートについて、これまでの1ドル=115円から同118円へ、1ユーロ=150円から同155円へと変更している。現在のところ、ユーロについては依然として想定に比べて円安水準で推移しノリシロがあるものの、ドルについては現状でも想定に比べて円高水準での推移となっており、もし、今後一段の円高が進めば為替差損の発生も懸念される。

 また、株式分割が見送られていることで、最低投資単位600万円超で一般の個人投資家が手を出しにくい水準になっていることも確か。連結PERもすでに37倍台(10月4日終値)と割高感が増しており、さらなる一直線での株価上昇の継続は難しいのではないか」との見方が出ていることも考慮しなければならない。

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