2006年10月からスタートしたMNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ=電話番号継続)制度の導入で一人勝ちを続けているKDDIの株価に先高期待感が高まっている。最近の“世界同時株安”に伴い全体相場が大きく崩れる中にあっても頑強に値を保ち、100万円台乗せをうかがう展開となっている。先週末3月9日の終値は90万6000円で、連結PERは22倍程度と割高感はない。来期の2008年3月期の増益期待を考慮すると、早晩株価100万円台での活躍が期待できることになりそうだ。
TCA(電気通信事業者協会)が3月7日に明らかにした2月の携帯電話契約数は、新規契約数から解約数を差し引いた純増数でKDDI(auとツーカーの合計)が7カ月連続して首位を確保した。MNPに伴って他社からの乗り換えが加速したのに加え、新規契約も引き続き拡大した。
2月のKDDIの純増数は22万4400件。携帯機器向け地上デジタル放送の「ワンセグ」や楽曲を丸ごと取り込める「着うたフル」に対応した高機能機種の投入が、継続的な伸びにつながったようだ。ソフトバンク・NTTドコモからの乗り換えは9万4700件となった。
従って、MNPがスタートした2006年10月から2月までの5カ月間にKDDIに他社から流入した携帯電話の加入者数は66.6万件に達したことになる。乗り換えの動きはやや鎮静化してきてはいるものの、KDDIの一人勝ちの状態は依然として継続している。
同社は1月25日に2007年3月期の連結経常利益が前期比16.3%増の3450億円程度になる見通しだと、業績予想の上方修正を発表した。これは今3月期の第3四半期(2006年4〜12月)の連結業績が、売上高2兆4624億円(前年同期比10.4%増)、経常利益3195億円(同22.7%増)となり、従来予想の通期見通しを上回ったことに伴うもの。移動体通信事業の順調な伸びが、固定通信事業の赤字を吸収したかたちだ。
今回の上方修正から判断すると、来期の2008年3月期の連結経常利益は3800億円(今期予想比10%増)程度を見込めることになりそうだ。
KDDIでは来期の2008年3月期に国内シェア30%突破。3000万件の累計加入契約獲得を目標として積極的な展開を図ってきた。MNPの好結果持続の追い風を受けて、直近の累計加入者シェアはすでに約29%に拡大しているのが現状だ。そのため、国内シェア30%は来期早々にも達成する可能性が高まってきた。
KDDIの株価は、2006年11月からほぼ80万円前後の小幅なレンジでの推移を続けていた。そのボックス相場が上放れるキッカケとなったのが1月25日の業績上方修正だった。これをキッカケに株価が急ピッチで上げはじめ、2月23日には一時、高値97万7000円まで買い進められた。
その後、“世界同時株安”の影響で一時、90万円を割り込む場面があったものの、短期間に90万円台を奪回し、上値指向を強めている。今後は3〜4月の春の需要期に向けて投入したニューモデルの健闘も期待できそうだ。
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