東京株式市場では新興市場の反転上昇ムードが高まっている。その中でも、やはり相場復活のけん引として期待されているのがIT・ネット関連のセクター、さらにその中でも、すでに東証1部に上場していながら今でも新興銘柄の盟主としての役割を担わされているのがヤフーだ。先週1月24日に2007年3月期の第3四半期(2006年10〜12月)の連結決算を発表したヤフーの今後の株価動向に注目が集まっている。
ヤフーが1月24日引け後に発表した第3四半期の連結決算は、売上高が545億円(前年同期比16.9%増)と、事前予想レンジの517億円〜552億円の上限に近い好結果となり、営業利益は276億円(前年同期比31.1%増)、経常利益は266億円(前年同期比29.5%増)、純利益は151億円(前年同期比19.8%増)と利益面でもそれぞれ大幅な増益を継続した。
広告市場でのネットのシェア拡大基調に変化はないものの、広告売上は7〜9月期の前年同期比36%増に比べ、この四半期は前年同期比20.2%増の217億円にとどまった。大手広告主の広告出稿量が伸び悩んだものの、ターゲティング型広告など、広告主のニーズに合わせた商品の販売に注力したほか、「Yahoo!ショッピング」の出店ストアなど、小口商品の広告主の獲得に努めた結果、広告主数は大きく増加した。広告以外の法人向けサービスが前年同期比38%増の128億円、個人向けサービスも同26%増と伸びた。
同社では、2007年3月期通期の連結業績見通しについて、売上高2091億〜2111億円、経常利益1004億〜1015億円、純利益562億〜569億円としている。
当面の注目点は、米国ヤフーが2月5日から新規導入すると発表した検索連動型広告の大幅刷新に関するプロジェクト「Panama」(キーワードに対する設定金額だけでなく、クリック率も順位決定の要素に組み入れられることになることで、ユーザーからの支持が高い広告を上位に配置する方が、広告媒体としての信頼性も増す可能性があるという)の日本で導入時期だが、市場関係者のあいだでは4〜6月が有力視されている。株式市場関係者の間では「パナマの導入で広告収入の増大の可能性が高まってきた」との声も上がっており、来期のヤフーの業績拡大への期待が寄せられている。
また、梶川朗CFO(最高財務責任者)は、ジャスダックへの重複上場の時期について「現在粛々と準備している。希望としては今年度内を目指している」と語った。ソフトバンクグループと米国ヤフーが7割超の株式を保有する同社は、東証が上場廃止基準に定めている「少数特定者の持ち株比率が75%超」という条項に抵触するおそれが出た場合に備え、ジャスダックへの重複上場を計画している。
ヤフーの株価は、2006年10月11日に安値3万9150円をつけてからようやく上昇に転じてはいるものの、先週末現在でも4万7000円台とその回復力は鈍いといわざるを得ない。今回も第3四半期の決算が好調だったものの、株価の反応はいまのところ鈍いものとなっている。しかし、第4四半期、さらに来期にかけては好調な業績推移が見込まれており、市場関係者のなかでは株価6万円台回復への期待感が寄せられている。
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