ソフトバンンクの株価が9月下旬から反発の兆しをみせはじめている一方で、ヤフーの株価低迷が続いている。はたして、ヤフーの株価反転上昇はいつになるのか。
ヤフーの2007年3月期第1四半期(2006年4〜6月)連結業績は、売上高492億円(前年同期比26.7%増)、経常利益229億円(同28.8%増)となった。売上高が、4月下旬時点の会社側見通し(500〜534億円)に達しないという同社としては極めて珍しいケースとなった。しかし、売上高が予想に比べて未達となったにもかかわらず、早めに経費の抑制に取り組んだことから、経常利益は期初予想の226〜252億円の範囲内にとどまった。
さらに、米国ヤフーの業績について広告収入の伸び悩みから7〜9月の売上高が従来予想の中心値から下限の間にとどまるとの見通しが伝わったことがきっかけとなって、米国ヤフーの株価が9月19日の米国株式市場で10%強の大幅安となったことも最近のヤフーの株価下落傾向に拍車を掛ける要因となったようだ。ところが実際には、ヤフー自体は米国ヤフーの株式を一切保有していないのをはじめ、業績や財務の面でも全く影響を受けることはない。多分にイメージ的にネガティブ要因と受け止められているようだ。
ヤフーの株価低迷の背景については、ひと言でいえば、ネット広告市場の先行き成長鈍化懸念ということになる。ここで、問題となるのは、このネット広告の伸び悩みが単なる一時的な踊り場なのか、あるいは構造的な問題で長期化するのかという点だ。
これについて準大手証券のネット関連企業担当のアナリストは「ヤフーでは主力事業である広告事業の売上高が当初の予想を下回った背景について、(1)季節性、(2)景況感の減速、(3)一部の企業におけるインターネット広告を含めた広告宣伝活動の自粛――の3点を挙げているが、(1)と(2)については理由として説得力に乏しい面もあるが、(3)については消費者金融と損保の両業界が不祥事などの理由で広告の自粛を強いられたという特殊要因があった。しかし、第3四半期以降はこうしたマイナスの特殊要因は徐々に解消向かうものと見られる。さらに、第3四半期からは、グループ企業で携帯電話業界に新風を吹きも込もうとしているソフトバンクモバイルによる一段の広告出稿の拡大も見込まれている」としている。
ヤフーの株価は2006年3月の1株→2株の株式分割後ほぼ一貫して下降トレンドをたどっている。株式分割を換算して試算した年初の高値に比べて現在の4万円台前半の株価は半値水準となっている。しかし、第3四半期以降の業績回復によって、今期通期の連結経常利益は1000億円(前期比25.2%増)程度に回復する期待感が強いことから、ヤフー以外の新興市場上場柄のマイナス材料発生による連動安懸念はあるものの、株価は中期的には今後徐々に回復基調に復帰するものと予想される。
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