総合比較サイトを運営する比較.comが、3月15日に東証マザーズ市場に新規上場する。同社は2003年2月に施行された確認株式会社、いわゆる「1円起業制度」で設立された初めての株式公開企業となる意味でも市場関係者の大きな注目を集めている。同社の公開価格は45万円だが、初値や上場後の株価形成にも関心が寄せられている。
同社は、総合比較サイト「比較.com」において、旅行商品や自動車をはじめ、引越し、証券会社、通信料金、保険商品などさまざまな分野の商品・サービスをインターネットユーザーの視点に立って整理し、ユーザーニーズにあった比較検索サービスを提供している。具体的にはIT(情報技術)、旅行、金融、生活、自動車、学びの6つの分野、42のカテゴリーで幅広い商品の価格比較サービスを提供。収益面では、ほぼ100%が広告収入となっている。比較.comを広告媒体として、参加企業およびアフィリエイト(成功報酬型)広告の広告代理業務を運営するアフィリエイト企業の広告、業務提携しているeマーケットプレイス(ウェブサイトを通じて売り手と買い手を結び付ける電子市場を運営)企業の広告を掲載する業務を行っている。
アフィリエイト広告を出稿している参加企業から、ある一定の成果(資料請求、見積り依頼など)が発生した場合にのみ、その成果に応じた広告料を収益として得ている。提供するサービスの形態により「顧客誘導サービス」と「情報配信サービス」の2つに区分される。顧客誘導サービスは、同社ウェブサイトに掲載された広告を通じて、より深く知りたいと思ったインターネットユーザーを参加企業のウェブサイトに誘導するもの。情報配信サービスは、インターネットユーザーが必要としている商品・サービスを同社のウェブサイトを通じて一括して複数の参加企業に見積り依頼や資料請求ができるサービスだ。従来は、複数の商品・サービス内容を各社毎に問い合わせる必要があったが、一括で問い合わせることが可能になったことが大きな特徴になっている。
「比較.com」の2006年1月の1カ月間のページビューは前年同月比65%増の470万、月間ユニークユーザー数(IPアドレスを1ユーザーとしてカウントした総数)は90万。金融部門の証券会社比較カテゴリーが12月中間期ベースの売上高では24.3%を占めるが、その他の分野はほぼ同程度の規模となっている。既存カテゴリーの周辺を開拓して事業領域を拡大。カテゴリー数の増加に伴って業績を伸ばしている。ロボット型検索エンジンを自社開発しており、家電カテゴリーで使用。比較対象となるデータを集めている。
広告収入のうち、8割以上がアフィリエイトによる。設立1年目は運用代行会社に完全委託していたが、2年目からは自社営業も開始した。直接取引の比率を上昇させ、利益率を高めている。サイトユーザーの獲得には、SEO(検索エンジン最適化)などを用いてポータルサイトや検索エンジンから誘導している。現在42のカテゴリーを今6月期末までに50まで増やし、2009年6月期には300カテゴリーまで増やす計画だ。
2006年6月期の連結業績について、同社は売上高5億6700万円(前期比2.3倍)、経常利益2億円5100万円(同2.4倍)、純利益1億4800万円(同2.4倍)と予想している。
比較.comの上場後の株価推移について準大手証券のアナリストは「比較サイトではすでに東証1部上場のカカクコムがあり、アフィリエイト関連では、2005年11月にジャスダック市場に新規上場したファンコミュニケーションなどがあり、いずれも好調な株価推移をみせているので、市場関係者の前評判は非常に高いものがある。市場環境の大きな変化がない限り、初値は公開価格の45万円に対して2倍以上の100万円台に乗せて、その後もジリ高歩調をたどることが期待できそうだ」としている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス