ジャスダック市場上場の着うた配信独立系トップのエムティーアイの株価が11月に入って急上昇をみせている。飽和状態といわれて久しい携帯電話関連ソフト事業業界のなかで、なぜ業績が急好転へと浮上したのかその背景について探った。
エムティーアイの株価は、11月2日の終値の31万9000円から先週の15日には一時、49万円ちょうどまで買われるなど短期間に急速な上昇をみせた。株価が急上昇したキッカケは11月2日引け後に発表した2005年9月期の連結業績について大幅な上方修正を発表したこと。その上方修正で、2005年9月期の連結経常損益については、従来予想の2億2000万円の赤字から一転して1億2900万円の黒字に、さらに同最終損益についても従来予想の4億4600万円の赤字から1億2500万円の赤字へと赤字幅が大きく縮小する見通しになることが明かになった。
業績が急速に回復している背景には、携帯電話向けコンテンツ(情報の内容)の配信事業が順調に伸びていることがある。とくに、第3世代携帯電話の本格的な普及に伴い「着うた」市場が急拡大をみせていることが寄与している。
同社の携帯コンテンツ会員数はこの9月末現在で371万人となり、1年間で111万人の増加となった。直近3カ月間でも36万人の増加をみせている。携帯関連ソフト市場が成熟化しているなかにあって、これだけ大幅に会員数が増加しているのは、数少ない成長分野である着うた配信で独立系トップの位置を占めているためだ。会員数が大幅な増加をみせているのは、?積極的な広告宣伝の展開?着うたの曲の品揃えの豊富さ?販売力の強化……などとなっている。
同社は1996年に携帯電話販売とデータ通信サービス提供を目的に設立された。携帯コンテンツサービス、テレマーケティングによる保険販売と徐々に事業領域を広げ、現在は携帯コンテンツサービスが主力事業となっている。同社では宣伝広告費に年間20億円以上投入して積極的な展開を実施している。コンテンツ面では、エイベックスの「大塚愛」、「EXILE」、「倖田未来」、「BoA」、アミューズの「サザンオールスターズ」、ビクターの「Dragon Ash」、アップフロントの「モーニング娘。」、フォーライフの「BENNIE K」、トイズファクトリーの「ゆず」など主なユーザー層である若者に人気のコンテンツ獲得に成功している。さらに、大手銀行系証券によると、「着うた市場は、今後3〜5年の間に着メロ並みの1000億円以上の市場になる」と見込んでいる。
会社側では、2006年9月期の連結業績について、売上高180億3000円(前期比22.2%増)、営業利益7億5000万円(同3.5倍)、経常利益6億5000万円(同5倍)、最終損益6億3000万円の黒字転換(前期は1億2500万円の赤字)と引き続きハイテンポな回復基調が堅持される見通しだ。
同社の株価は11月に入ってわずか2週間足らずの間に50%以上という急騰ぶりをみせたことから、その反動もありさすがに現在は微調整の推移となっている。しかし、業績回復のスピードは急ピッチであり、今後株価は50万円台を固めてから、中・長期的には70万円台乗せに向けての上昇波動をたどる期待が高まっている。
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