将来をも左右するソニーの決戦は9月22日

 ソニーが9月22日に予定されている経営方針説明会を控え、風雲急を告げている。先週末の9月16日には日経新聞朝刊が1面のトップ記事で「エレクトロニクス部門への“本業回帰”推進に伴う金融事業の売却」を伝えたのに加え、CSFB証券が15日付けのリポートで「抜本的な事業構造改革とコスト削減が進む」として目標株価を4300円から5200円に引き上げた。果たして、今回の新たな経営方針の発表が“負け組みの汚名返上のキッカケ”となるのか株式市場関係者は固唾を飲んで見守っている。

 日経新聞の報道に対してソニーは、9月16日午前にコメントを発表し「金融事業の持株会社であるソニーフィナンシャルホールディングス(SFH)を2004年4月に設立し、その際に将来的な同社の株式上場の計画を表明したが、現在もこの考え方に変更はない。また、上場後の同社株式売却の計画も一切ない」としている。さらに、「記事中にスカイパーフェクト・コミュニケーションズの株式売却の可能性についても言及があるが、これについても現時点では一切考えてない」としている。しかし、同時に9月22日に経営方針を対外発表する予定で、個別事業分野の具体的施策を明らかにするともしている(関連記事)。

 外資系証券のアナリストは「金融事業の売却はこれまでに何度も取り沙汰されていた経緯があり、話題自体に新鮮味はない。もちろん、22日の会社側の発表を待たねばならないが、現在の同社にとっての金融事業は、ゲーム事業や映像ソフト事業と並んで収益を支えている重要な部門、直ちに売却する可能性は少ないのではないのか。もし、本当に利益貢献度の高い金融事業を売却に踏み切るとすれば、逆に財務内容が予想以上に悪化しているのではとの勘ぐりのタネにもなりそうだ。むしろ、今回の経営方針説明で市場関係者が一番の関心を寄せているのは、半導体・電子デバイス事業での巨額な設備投資をどう回収するかというこではないか」としている。

 CSFB証券は、15日付でソニーの目標株価を4300円(9月16日終値は4060円)から5200円に引き上げた。投資評価は「アウトパフォーム(強気)」を継続。そのリポートでは「抜本的な事業構造改革およびコスト削減に取り組むことから、予想収益モデルは短期的に流動的なものとなる。経営陣が十分な実行力を示し、コスト削減に向けて断固たる決断を下せば、(株価は)長期的に大幅な上昇余地が生まれてくる」と期待感を強めている。

 もっとも、会社側では金融事業持株会社売却の計画、スカパー株式売却の報道内容を正式に否定。カンパニー制や高級家電、ロボット事業などの廃止、縮小については「コメントを差し控える」(9月16日現在)としている。対照的に、CSFB証券はエンタテインメント・コンテンツ事業でメディア買収の可能性を指摘している。

 ソニーの最近の株価は、全体相場の上昇や経営立て直しへの期待感から、ダブルボトムを形成した8月29日の安値3660円から約11%上昇している。携帯型音楽プレーヤーやデジタルビデオカメラの好調、さらに韓国サムスン電子との合弁会社がパネルを供給、内製化比率を従来の10%から50%に高めた新型液晶テレビ「BRAVIA(ブラビア)」の発売(想定価格は32型が29万円前後から、40型が41万円前後からで、ブランド刷新と1インチ1万円に近い価格設定により、年末商戦では、大型テレビで30%の国内シェアを目指す)。こうした好材料が浮上するなかで、「最悪期は脱しつつある」(市場関係者)との見方が増えていることも確かだ。

 信用取り組みの面でも直近の東証信用残高で、1.01倍ときっ抗していることも買い支援材料となっている。当面は3月28日につけた年初来高値の4420円奪回が上値の目標となりそうだ。

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