新球団だけじゃない、年初からエンジン全開の楽天

 年が明けて新球団のユニフォームを発表するなど、楽天のプロ野球への参入が連日のように報じられ話題を集めている。今後も春の公式戦開幕に向け、折りに触れて関連ニュースが伝えられることになるだろう。ところが今年の楽天は、新球団だけでなく多方面に向けて積極姿勢をみせ、さらに風雲児ぶりを発揮することになりそうだ。まず、手はじめにネット専業の商品先物取引会社への出資を明らかにした。

 楽天と松井証券は5日、インターネットを使って、貴金属や石油などの商品先物取引を行うネット専門の商品先物取引会社に資本参加すると発表した。商品先物の手数料自由化などを手掛けた経済産業省OBの車田直昭氏(元経済産業省大臣官房付)が2004年12月に設立した新会社、ドットコモディティに共同出資する。

 商品先物は、昨年末の委託手数料完全自由化に加え、今年5月の改正商品取引所法施行でオンライン取引の利便性が向上、個人投資家を呼び込む余地が大きいと判断したという。ドットコモディティは5月に営業を開始する予定で、開業時の資本金は10億5000万円の予定。出資比率は楽天が40%、松井証券は6%。また、同省OBで株主の権利確保を主張し、これまでに数多くの上場企業に投資を行って証券市場で話題を集めているM&Aコンサルティング代表取締役の村上世彰氏も44%出資し、筆頭株主となる予定だ。

 基本的には、東京工業品取引所に上場している商品を取り扱うが、電話や訪問による勧誘はせず、ネット証券との提携を武器に格安手数料での顧客の獲得を目指す。松井証券および楽天傘下の楽天証券は、自社のホームページを通じてドットコモディティに顧客を紹介するという。

 楽天は、仮想商店街「楽天市場」の運営を本業とするインターネット関連企業。積極的なM&A(企業の合併・買収)を通じて、金融、旅行などネットと好相性の分野へ事業領域を拡大中で、爆発的な成長を持続している。2004年はプロ野球への参入で注目を浴び、パソコンをあまり使わない層に対する知名度も一気に上昇した。プロ野球経営に関しては、当初こそ赤字部門を抱えることに疑問の声も上がったが、大きな相乗効果をもたらすとの見方が優勢となっている。なお、昨年12月末割当で1対10株の株式分割を実施。さらに今年は、時価総額がすでに1兆4000億円を超えており、いよいよジャスダック市場から東証一部への上場を期待する声が高まりそうだ。

 昨年12月27日は1対10株の株式分割の権利落ち日に当たり、値ごろ感と需給ひっ迫が買い材料になった。最低投資金額が10分の1に引き下げられ、個人投資家でも気軽に参加しやすい10万円程度に下がったことから、年新春相場のリード役として期待されている。株価は現在12万円台で推移している。

 株式分割に伴う新株式の還流日は2月21日。その日に向けた発行株式数の増加を懸念して、株価の動きはやや重くなると予想されるものの、第4四半期(10〜12月)という最大商戦期を含む2004年12月期本決算の発表日がこれと重なることから、今期の好業績見通しを受けて再び株価が上昇トレンドに復帰することになりそうだ。

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