楽天の株価は、プロ野球への参入が正式に決定して以降も順調な上昇をみせている。ここにきて87万円台を回復し、年初来高値の94万3000円(4月16日)を射程圏に捉えてきた。時価総額も1兆円の大台を突破している。11日には、2005年3月期の第3四半期(7〜9月)の決算を発表し、三木谷浩史社長は「サイトへの来訪者が増えるなど、プロ野球への参入効果はすでに表れている」と指摘、前向きの姿勢が目立っている。順風満帆の楽天の今後に、あえて今後の課題を探してみた。
楽天は11日に、2005年3月期の第3四半期の決算を発表した。それによると、連結売上高は110億7000万円(前四半期比2.2%増)、営業利益33億2200万円(同11.8%減)と、微増収ながら大幅な減益決算となった。
今回の四半期決算が前四半期に比べて2ケタの減益となった主な背景には、金融事業が前四半期比で減収減益となったことがあげられる。傘下の証券会社、楽天証券の収益が芳しくないためだ。楽天証券の業績が低迷しているのは、信用取引の手数料を大幅に引き下げたものの、その分の採算の悪化を売買件数の増加で十分にカバーすることができなかったためだ。
同社は今回の決算発表の席上で「第3四半期(7〜9月)決算は、プロ野球参入効果が早くも表れ、プロ野球参入に伴う媒体露出を広告コストとして換算すると、年間で最大350億円の効果があるのでは」との試算を示すなど自信をみせている。
これについて外国証券のアナリストは「確かに“楽天市場”への出店企業数の増加や、一般消費者の認知度は、今回のプロ野球参入で飛躍的に高まる可能性を秘めている。しかし、金融業についてはプロ野球参入によるメリットはほとんど想定できないのではないのか。特にネット証券の楽天証券の場合は、知名度よりも手数料や提供される情報サービスの中身、売買注文の執行のスムーズさなど、使い勝手の良さが求められており、一般的な知名度で顧客が獲得できるほど甘い世界ではない」としている。
証券会社を中心とした金融業が今後の楽天の足かせとなる懸念も残されている。また、純粋にシビア収益状況という面から考えれば、新球団の経営は当面のあいだは膨大な資金を吸い込み続けるブラックホールとなるわけで、単体で赤字が解消して黒字経営になるまでのシナリオは今のところ誰も描くことができそうにない。
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