NTTドコモは8月4日、5日から25日までの期間に自社株191万2568万株を株式公開買い付け(TOB)で取得すると発表した。買い付け価格は1株18万3000円(4日の終値19万6000円)で、予定株数をすべて取得した場合には、総額で約3500億円が必要となる大規模な自社株買いとなる。また、株数でも191万2568株は、現在の発行済み株式数の3.8%に相当することから、1株当たりの株式価値の向上につながる期待感も出ている。NTTドコモの株価は、7月20日に171万円で年初来の安値をつけて大底を脱出し、ようやく反転上昇に兆しをみせはじめたところだけに、今回の大規模な自社株買いの発表は様々な波紋を呼びそうだ。
今回の自社株買いでNTTドコモは、豊富な手元資金を使って株主資本の圧縮を図り、資本効率の向上を狙っている。TOBには、同社の親会社で発行済み株式の約60%を保有しているNTTが応じる意向を示している。NTTとしては、保有するNTTドコモ株を現金化して、次回の政府保有株売却の際、同時に実施する自社株買いの原資にする狙いもありそうだ。
この自社株買いの実施発表を受けてスタートした5日の東京株式市場では、NTTドコモの株価は前日比小幅安での推移となった。これについて市場関係者は「公開買付の価格が時価を下回ったことで、弱気ムードが優勢となったようだ。また、このところ株価が急ピッチで戻していただけに、利益確定の売りも出ているようだ」としている。しかし長い目でみれば、発行済み株式数の3.2%に達する自社株買いは、資本効率の向上につながるだけに、株価面ではプラス材料といえる。特にNTTドコモの場合、TOPIX(東証株価指数)の浮動株化(※)に絡む思惑で過度に売り込まれたとの見方もあり、株価反発のエネルギーは蓄積されているようだ。
同社の第1四半期(4〜6月)の連結決算は、売上高が前年同期比2.5%減の1兆2211億円、営業利益は同17.9%減の2766億円。純利益は同13.4%減の1704億円となった。同社は第3世代携帯電話FOMAの拡販に注力しており、前期末に300万件だった契約数は、6月末時点で458万契約、7月19日には500万契約と順調に拡大中。今期は1000万契約を目標に置いている。さらに、7月からは電子決済などの新サービスを盛り込んだ「iモードフェリカ(おサイフケータイ)」をスタートさせている。
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