例年にないカラ梅雨、全国的な早めの猛暑到来による夏物商戦の盛り上がりを受けて、株式市場でもエアコンや衣料、飲料など夏物消費関連銘柄が物色人気を集めている。ところが、市場関係者が夏相場の柱として期待しているテーマは、「おサイフケータイ」関連だ。
NTTドコモグループは、7月10日から非接触ICチップ「FeliCa(フェリカ)」を搭載したiモード端末「ムーバP506iC」を発売した。これに伴って、iモード端末が電子マネーなどとして利用できるおサイフケータイのサービスも同日から開始されている。
おサイフケータイは、電子マネーの「Edy」やJR東日本のプリペイドカード「Suica(スイカ)」の機能を備えているほか、ぴあ(電子チケット)、ANA(航空券)などのサービスがiモード端末で利用できるというもの。対応機種には、ICカードのプラットフォームFeliCaが搭載されており、iアプリをインストールすると利用できるサービスを追加できる。
iモードFeliCaの基本的な機能は、現在EdyやSuicaなどで採用されているカード型FeliCaと変わらない。携帯電話機をかざすだけで会員証として利用でき、電子マネーとして買い物をすることが可能だ。これに加えて、携帯電話の通信機能を利用できるため、iモードを通じて電子マネーやチケットの購入もでき、ディスプレイで利用状況が確認できるなど利便性が向上している。
外国証券のアナリストは「おサイフケータイの登場は、モバイルインターネット(携帯電話でのインターネット接続)やカメラ付き携帯の登場を上回る大きなビジネスイベントとなりそうだ」と、将来的な関連ビジネスの市場規模の広がりに期待を寄せている。非接触ICチップを携帯電話に搭載するメリットは、残高や購入履歴が確認できること、オンラインでの支払いが可能なこと、セキュリティの高いキャリア内のネットワークを使用できること、これまで使用していた複数のカードを集約できること、関連の外部接続機器(通信機器やリーダー、ライターなど)が不要なことなどだ。
おサイフケータイは、今後Eコマースで中心的な役割を担うとされる電子マネーのEdyに対応していることもポイントだ。カード型のEdyはすでに400万枚以上が普及しており、コンビニエンスストアのam/pm、サンクス、サークルK、コーヒーショップのPRONTO、ドラッグストアのマツモトキヨシ、居酒屋のコロワイド、カラオケの第一興商などでの利用が可能となっている。さらに、今後はディスカウントストアのドン・キホーテなどをはじめ、利用可能な店舗が様々な業種で飛躍的に拡大することが予想される。
NTTドコモiモード企画部長の夏野剛氏は、この新サービスについて「iモードが登場して以来の大きな進化」と強調。その上で、「たとえばドコモの定款には金融業が入っているが、その先には通信の枠を超えたビジネスがある」と語り、このサービスを通信料に依存する従来のビジネスモデルからの脱却を目指す「生活ツール」として位置付けている。
このおサイフケータイでメリットを受ける関連企業としては、NTTドコモと、非接触ICカード技術FeliCaを開発したソニー、携帯電話の端末機器では富士通、松下電器グループ、シャープなどだ。さらに、サービス提供企業としては、ANA、JR東日本、エーエム・ピーエム・ジャパン、JCB、ぴあ、ビックカメラ、日本コカ・コーラ、ソニーファイナンスインターナショナルなどが名を連ねている。また、店舗側で対応する端末の関連では東芝テック、グローリー工業が、IC関連のソフト開発および携帯サイト構築関連ではインデックス、コネクトテクノロジージ、サイバードなどがあげられる。
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