16日は日経平均株価が大幅上昇し、チャート上の節目とされる「3分の2戻し」を達成した。しかし、主力ハイテク株の中には年初来の安値圏に沈んでいる銘柄も少なくない。NEC、ソニー、パイオニア、アドバンテスト、セイコーエプソン、スタンレー電気、ディスコといった銘柄がそれにあたる。
日経平均株価の3分の2戻しというのは、4月26日に記録した今年の年初来高値1万2163円(終値ベース)から直近の安値5月15日の1万505円(同)までの下げ幅が1658円で、その3分の2戻しラインである1万1610円を16日の終値ベースでクリアしたということだ。市場関係者のあいだでは「3分の2戻しを達成できたことで、夏場に向けて再び年初来高値にトライしていく可能性が濃厚となってきた」という強気の見方が増えはじめている。
ところが、こうした全般相場に対する上昇期待感とは裏腹に、ここにきて主力ハイテク銘柄の株価の低迷が目立ちはじめている。15日には、シャープが5カ月ぶり、NECも4カ月ぶりに年初来安値を更新した。
この主力ハイテク銘柄の下落傾向の背景について外国証券のアナリストは、「きっかけはやはり“サムスンショック”にあったようだ。液晶パネルや半導体の価格下落懸念を背景に、韓国の巨大ハイテク企業のサムスン電子の株価が30%以上の暴落をみせた。このことで警戒感が強まり、シャープ、JSR、日東電工、スタンレー電気、日本電気硝子といった液晶関連企業の株価が軒並み急落した。これに連動するかたちで、NEC、パイオニア、エプソン、アドバンテストといった主力ハイテク銘柄にも連想売りが波及した」としている。
ところが、サムスンショックがあったとはいえ、NECなどの主力ハイテク銘柄が年初来安値を更新したということは、すでに株価自体が全体相場の水準に比べて相対的にかなり低い水準に低迷していたことを物語っているわけだ。主力ハイテク銘柄低迷の背景には、サムスンショックだけでは済まない複合的な背景がありそうだ。
準大手証券のアナリストは「まずは、アテネ五輪後に対する不安だ。8月半ばから開催されるオリンピックに向けて、世界各国の電機メーカーは薄型テレビなどデジタル家電の製造に拍車をかけてきた。したがってその部品の主力となる半導体についても、先行調達した反動がではじめ、在庫の増加とこれに伴う価格低下の懸念が浮上しているわけだ。五輪特需が盛り上がれば盛り上がるほど、その反動による落ち込みが懸念されている」としている。
さらに、株式需給面からも売り先行となる要因が加わっているとの見方もある。中堅証券の投資情報部では「外国人投資家にとって、6月末は決算の面から中間期末にあたり、利益の乗っている主力ハイテク銘柄については利益確定の売りが多く出ても当然といえる。さらに、主に国内的な要因として、ハイテク銘柄のなかにはエプソン、三洋電機、アドバンテスト、東京エレクトロンなどのように、1月に年初来高値をつけて以降それを抜けずに下落に転じた銘柄も多く、こうした銘柄の信用取引の売買期日が6カ月後の7月に到来することから、売り圧力が強まることへ警戒感が強まっているという面もある」としている。
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