CTCはSIerの勝ち組になれるのか

 厳しい環境が続いていたSI業界だが、今3月期の業績はようやく堅調な推移が見込まれている。なかでも、株式市場で注目を集めているのが伊藤忠テクノサイエンス(CTC)だ。果たしてCTCはSIerの勝ち組となれるのか。

 CTCの2004年3月期の連結決算は、売上高2661億円(前々期比7.7%減)と減収ながら、経常利益173億円(同6%増)の増益になった。システム事業の売上高が企業のIT投資抑制の影響を受けて前々期比9.5%減の2254億円に止まったものの、利益率の高いサポート事業の売上高が同3.3%増と増加したことが寄与した。さらに、新社長・岡崎友信氏の体制下で推進されているコスト削減も増益に大きく寄与してきている。

 続く2005年3月期の連結業績見通しについてCTCは、売上高2750億円(前期比3.3%増)、経常利益196億円(同12.7%増)と2けたの増益を見込んでいる。同社では、今期を「改革の成果を生む年」と位置付けており、中期的な成長戦略の重点施策を推進する方針を明らかにしている。特に今期は、前期から顕著な回復をみせはじめている通信・放送事業ネットワーク向けの販売拡大が継続し、主力ユーザーである通信事業者向けの売上高は1038億円(前期比11.1%増)と1000億円を超える見通しだ。そのほか、金融業界向けでも250億円(同5%増)と底入れすることになりそうだ。

 利益面では、本社のオフィス移転費用13億円が発生するものの、前期と同様に採算重視の選別受注を徹底することなどによりコスト削減を計画していることから、2けた増益を見込んでいる。

 さらに最近では、システム保守・サポート事業を担当する子会社のシーティーシー・テクノロジーと共同で、企業などの情報システムの運用・管理における問題点を抽出し、効率的な運用・管理手順を提案する「ITIL(アイティル)コンサルテーションサービス」を6月3日にスタートしている。これによりCTCグループでは、業務コンサルティングからシステム設計、構築、保守・運用サポートまでの一貫したサービス体制を構築することになった。

 企業などの情報システム関連予算に占める運用・管理費の比重は高く、新たなシステム投資を行ううえでのネックとなっている。こうした運用・管理コストを最適化する手段のひとつとして注目を集めているのが、運用・管理手順の標準化。とくに、運用・管理の国際標準化ガイドラインである「ITIL(IT Infrastructure Library:ITインフラストラクチャ・ライブラリ)」は、すでに欧米での採用が進み、日本でも注目を集めはじめている。

 同社の株価は、3月30日に年初来高値の4750円をつけたあと反落に転じた。その後5月18日に3580円で底をつけて反発に転じ、先週末4日の終値は4090円となっている。日足のチャートで判断すると、中期線の75日移動平均線を、短期線の25日移動平均線が上から下へ抜けるデッドクロス(株価の先行きが下降トレンドとなる可能性が高いとされるシグナル)を示していることから、短期間の調整を経て再び上昇基調に復帰することになりそうだ。

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