ヤフーは21日、2004年3月期の連結決算を発表した。純利益が前々期比2倍となるなど好調な結果となったものの、株価は翌日から週末にかけて続落し、下落傾向に歯止めがかからない状態となっている。好業績継続にもかかわらず、アナリストの株価判断には厳しい見方が多い。今後の事業展開と株価推移を探った。
同社の前3月期連結業績は、売上高757億7600万円(前々期比28.2%増)、経常利益413億800万円(同75.6%増)、純利益248億2600万円(同2.05倍)を確保した。同社のこれまでの過去最高利益は前々期に記録していることから、一気にこれが2倍に拡大したことになる。これはネット広告の急拡大によるもので、特に1社当たりの出稿額が増加し、ナショナルクライアントからの売上が大きく増加した。さらに、オークション(競売)事業も大量出品物に対応可能なシステムの導入などで、売上高が同1.9倍と拡大したことも寄与した。ソフトバンクBBによる顧客情報流出の影響などで2月末から3月にかけてYahoo! BBの新規申し込みは減少したものの、「情報管理の厳格化と、積極的な会員獲得キャンペーンの実施によって3月後半からは回復基調となった」(会社側)という。
続く今期の連結業績についてヤフーでは、第1四半期(2004年4〜6月)で売上高226億〜248億円、経常利益114億〜129億円、純利益68億5000万〜77億5000万円を想定している。この第1四半期の業績は、前期の第4四半期に比べて、売上高では増収を見込むものの、利益段階ではほぼ横ばいを見込んでいる。これは、システムの増強やオフィスの増床などによるコスト増を見込んでいるためだ。
こうした好調な業績動向にもかかわらずアナリストからは、ヤフーの株価の先行きに厳しい見方が出ている。UFJつばさ証券では22日付けのレポートでレーティング(株価判断)を従来の「B(中立)」から「C(弱気)」に引き下げている。その理由については「2005年3月期は連結業績で、売上高が前期比35.3%増の1025億円、経常利益同35.6%増の560億円を予想している。オークション事業と広告事業は引き続き高成長が期待できるものの、オークションの本人認証や情報管理強化のための費用増もあり、増益率は鈍化すると予想される。日本一のインターネット企業として高成長が期待できるものの、来期予想PER(株価収益率)が117倍で、米eBayや米Yahoo!と並んでやや過熱感のある株価水準と思われる」としている。
さらに、ドイツ証券では22日付けのレポートで株式レーティング「Sell」を継続し、今後12カ月間を想定した目標株価も46万5000円(4月23日終値は119万円)と現状株価の半値以下の水準を見込んでいる。レポートでは「ヤフーの株価と業績の相関では、株価の動きが増益率の推移に1年程度遅行することが指摘できる。前回の増益率のピークは2003年3月期に到来しており、業績による株価サポートは徐々に弱まりつつあると判断される。とりわけ、増益率の鈍化は前年に冷夏の反動があった第3四半期に強く表れると予想される」としている。
ヤフーの株価は、3月26日の1対2株の株式権利落ち後、株価が半分になったことによる買いやすさもあり、105万円から4月5日には年初来高値の143万円へと短期間での急上昇をみせた。しかし、その後は反落局面となり、先週末の23日には120万円を割り込み119万円となった。確かに時価水準での今期連結PERは146倍と、かなりの割高水準になっている。しかし一方では、「インターネット関連企業の旗手として、継続的な高い成長性を期待したネット利用の個人投資家によるヤフーの人気は絶大なものがある」との市場関係者の見方もある。
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