日立系の情報サービス会社、日立システムアンドサービス(以下日立S&S)が3月9日に東京証券取引所に新規上場する。日立ソフトウェアエンジアリング、日立情報システムズなどすでに日立系の情報サービス会社が上場を果たしているが、日立S&Sはシステム開発の川上工程を得意とする実力SE集団として注目を集めている。
日立S&Sは、1978年に「日立コンピュータコンサルタント」として設立された。システムインテグレーションおよびシステムサービス事業を主体とし、様々なソフトウェアパッケージと情報処理機器を有機的に結合、日常業務から経営管理・経営戦略などに到る情報システムの構築を行っている。
同社は情報サービス業界で売上高第13位の地位を占め、システム開発のなかでの川上工程に強みを発揮している。日立への依存度を引き下げ、業績の向上を目指す同社は、技術開発力の高さが特徴だ。現在社員は約5000人だが、優秀な技術者が多く、例えばオラクル認定技術者は延べ5881人(2003年12月31日現在)に上り、注目度が高まっているXMLマスターの資格保有者は、国内有資格者のほぼ6分の1に相当する1045人(同)に達している。具体的なシステム開発の例としては、JR各社のみどりの窓口の発券システムをはじめ、政府の推進しているe-Japan II構想に基づく電子政府・電子自治体などの電子行政向けソリューションの開発などがあり、ほかにも大手金融機関や東京証券取引所、大阪証券取引所のシステムにも参画している。
主な事業内容は、システムインテグレーションおよびシステムサービス(売上構成比率78%)、ソフトウェアパッケージ(同5%)、情報処理機器販売(同17%)に大別されている。ソフトウェアパッケージの就業管理システムはソニーが採用しているのに加え、情報処理機器販売では、日立製の商品以外にも米NetScreen Technologiesのセキュリティ商品などを販売している。今後は中規模クラスの案件の受注獲得に努力し、3年後をメドに自社ルート比率を50%(前期実績36%)に引き上げる方針を打ち出している。
同社が2月2日に発表した2004年3月期の連結業績見通しは、売上高928億5000万円(前期比2.8%減)、経常利益40億5400万円(同10.7%増)、純利益23億3500万円(同9.1%減)、1株利益111.3円となっている。また、2月26日に同社は、今回の上場に伴う公募・売出価格について1株1800円と発表した。
日立S&Sの上場と、その後の株価の推移について外国証券のアナリストは「公募価格と今期の連結予想1株利益から試算したPER(株価収益率)は16倍台と割高感はない。したがって、上場当日もある程度の人気を集めることが予想され、株価は2000円水準程度までは上昇することが十分想定できる。ただ、同業種の類似企業がかなり上場していて、新鮮味に乏しいことに加え、現在業界自体の置かれた環境が必ずしも順風でないことを考慮すると、株価が一本調子での上昇基調をたどるとは考えにくい」としている。
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