NTTドコモは10月30日、2003年9月中間期の連結決算(米国会計基準)を発表した。売上高は2兆5359億円(前年同期比6.4%増)と増加したものの、営業利益は5901億円(同7.8%減)と1998年の上場以来、中間期ベースでは初の営業減益となった。8月22日に年初来高値32万円をつけて以降、ほぼ一貫して下落し続けてきたNTTドコモの今後の株価動向を探った。
NTTドコモの9月中間期の決算は、カメラ付き携帯電話「ムーバ505i」シリーズの契約好調などでパケット通信収入が伸び、売上高は前年同期比で増収となったものの、買い替え需要の発生に伴う携帯電話の端末原価の上昇、代理店手数料の増加など販売関連の費用が予想以上にかさんで利益を圧迫したことから、営業利益は減益となった。
下期を含む2004年3月期の通期連結業績見通しについてNTTドコモは、従来予想をほぼ据え置き、売上高5兆340億円(前期比4.7%増)、営業利益1兆900億円(同3.1%増)、純利益6210億円(同192.2%増)の増収増益を見込んでいる。しかし、この業績見通しの前提には、FOMAの期末契約数を200万契約(従来見通しに比べて54万契約上乗せ)にしたことや、今期の設備投資額を従来予想に比べて150億円削減して8030億円とするなどの大きな変更点があることを見逃してはならない。
NTTドコモの株価は、8月年初来高値からほぼ一貫して下降トレンドをたどり、下落率はすでに26%(10月31日現在終値23万8000円)に達し、上場来安値の20万1000円も意識される水準に突入しつつある。株価が長期低落トレンドから抜け出せない最大の要因は、やはりファンダメンタルズの悪化にある。外国証券のアナリストは「auの第3世代サービスが大きく台頭するなかで、NTTドコモはFOMAへの移行が円滑に進まず、従来のヘビーユーザーがかなり同業他社へと流出している。業績ピークアウト感が付きまとい、再び成長軌道に乗るシナリオが描きにくい状態が続いている」としている。
一方、株式需給面では、銀行株の上昇過程でドコモ、トヨタなどの時価総額上位銘柄が売られたとの見方があるほか、ヤフーの東証1部上場の影響を指摘する声もきかれる。外国証券のストラテジストは、今後の需給予測について「パッシブ運用型ファンドのヤフー株買い需要がTOPIX(東証株価指数)算入日(12月1日)の前日(11月28日)に発生するが、これに伴って購入資金捻出のため、今後ドコモが換金売りの対象になる可能性がある」と指摘している。
さらに、信用取引の需給面から見ても、直近の10月24日申し込み現在で買い残高17万4437株、売り残高1万2445株と、圧倒的に買い残高が上回っており、潜在的な将来の売り需要の強さから、上値の重さが想定される。またチャート面からも、週足で26週移動平均線を13週移動平均線が上から下へ突き抜けるデッドクロス(※)となる状態が間近に迫るなど、現時点では株価が短期間に急反発に転じる可能性は少ない。ただ、株価はこうした懸念材料をかなり織り込んで調整を続けており、この水準から大きく下落する危険はなさそうだ。
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