ソニーは、23日の取引時間終了後、2004年3月期通期の連結営業益について従来予想の1300億円から1000億円へと大幅な下方修正を発表、これを受けて24日の同社の株価は前日比180円安と下落した。今回の業績下方修正の要因が、最近の同社の収益を利益面で支えてきたゲーム部門の不振にあっただけに、依然として業績回復の見通しは不透明で出口の見えない状態が続いている。
第2四半期(7〜9月)の連結営業利益は、前年同期比34.3%減の332億円(9月中間期は、同51.3%減の498億8600万円)と事前の市場予想を下回った。2003年3月期の第4四半期(1〜3月)の大幅赤字が明らかになり、株価が暴落した今年4月末の「ソニーショック」が依然として尾を引いている印象を与えた。
売上高全体の70%弱を占めるエレクトロニクス部門は、第2四半期売上高で前年同期比1%減の1兆2106億円という微減収にとどまり、営業利益は同36%増の358億円と回復した。売上面ではブラウン管型テレビが足を引っ張ったものの、国内の薄型テレビや欧州でのデジタルカメラなどが伸びた。デジタルカメラ向けCCD(電荷結合素子)などの半導体、高付加価値モデルが好調だったパソコンの「VAIO」などが利益をけん引した格好だ。
ところが、これまで同社の利益を支えてきたゲーム部門で、売上高が前年同期比35.6%減の1613億円となり、営業利益は同91.2%減の22億円と大きく落ち込み赤字寸前の状態に追い込まれた。このゲーム部門の不振についてソニーでは「次世代ゲームの研究開発費が膨らんだ」(同社執行役員常務兼グループCFO、湯原隆男氏)としている。しかし、実際には「プレイステーション2」の販売価格を大幅に引き下げたにもかかわらず、欧米での販売台数が計画に比べて大きく伸び悩んだことと、ゲームソフトでも利益率の高い自社開発製品の比率が低下したことも響いた。
世界的な傾向として低迷が続く音楽部門は、売上高は減ったものの構造改革で営業損益は前年同期の56億円の赤字から3億円の黒字に回復、一方の映画部門は、ヒット作が出た前年の反動減により同99億円の黒字から46億円の赤字に転落した。
外国証券のアナリストは「これまで利益を稼ぎ出してきたゲーム部門の大幅な下方修正が、ある程度のネガティブサプライズとして受け止められたことは否定できない。さらにエレクトロニクス部門についても、前年の7〜9月期は4〜6月期のサッカーワールドカップの反動で大きく落ち込んだ時期であったことを考慮すれば、それとの比較での前年同期比大幅営業増益だけに、本格的な回復基調に復帰したとは判断しにくい。今後は年末に向け発売が予定される“PSX(PS2とDVDレコーダーを融合させた商品)”をはじめとしたクリスマス商戦での浮沈が今期の業績推移の鍵を握ることになりそうだ」としている。
株価は、直近安値の10月8日の3810円を割り込んできたことから、次の下値メドは8月11日の安値3500円となっている。
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