ソフトバンクの株価上昇に加速がかかっている。9月初めには3000円台半ばだった株価がその後急上昇をみせ、直近では7000円台に浮上している。さらにここにきて顕著になってきたのは、ヤフーをはじめとする関連子会社の株価急騰だ。ソフトバンクファミリーの株価総上げの背景を探った。
ソフトバンクの株価は、8月までは3000円台前半の水準を往来する小幅なボックス相場に終始していた。それが目立って動き出すきっかけとなったのは9月2日のストップ高だ。この当時ソフトバンクの買い材料とされていたのは、日経平均株価225種銘柄に新規採用されるとの思惑に加え(実際には今回は採用されなかった)、米国株式市場でIT関連銘柄の多いナスダック市場の総合指数が連騰していたことだった。
その後のソフトバンクの株価上昇の支えになったとされているのが、関連子会社を含めたソフトバンクファミリーの存在だ。ファミリーの筆頭格であるヤフーは、8月下旬に発表された9月末時点での1対2株の株式分割や、東証1部への指定替えを手掛かりに株価が上昇し、8月末には200万円水準だったのが直近では実質360万円(株式分割のため実際の株価は180万円水準)レベルへと、ほぼ2倍の上昇をみせている。
さらに、グループ会社でベンチャーキャピタル大手のソフトバンク・インベストメント(SBI)の株価は、10月初めに15万円台だったものが、わずか半月で40万円台に乗せるという急騰を演じている。こうしたファミリー株の上昇がソフトバンクの保有株の含み益増大につながり、これを評価して株価がさらに上昇するという好循環となっているようだ。
このようにファミリー企業の株価が総上げとなる中、市場関係者の一部にソフトバンクグループと野村証券の急接近ぶりを指摘する声が上がっている。
10日の株式市場では、SBIが前日比ストップ高(4万円)の25万9000円まで買い進まれるなど大幅続伸となった。 これは、前日の9日にSBIが野村証券系の中堅証券ワールド日栄証券の発行済み株式の33%を、大株主の野村土地建物などから38億円で取得し、さらに40億円の第三者割当増資を実施して子会社化すると発表したことを好感したものだ。来年2月2日には、グループ会社でヘラクレス市場に上場しているソフトバンク・フロンティア証券と合併させるという。 なお、このソフトバンク・フロンティア証券も、10日は前日比ストップ高(2万円)の16万5000円で引け、その後も株価は上昇して現在は30万円台の推移となっている。
市場関係者は「今回の買収は、ソフトバンクグループによるワールド日栄証券の救済の色彩が強い。以前から野村証券との結びつきは強いとされていたものの、最近のソフトバンクグループ銘柄の株価急上昇を見るにつけ、ソフトバンクと野村の強力なタッグを指摘したくもなる」としている。
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