オンライン証券の軒並み最高益に死角はないのか

 日経平均株価が1万700円を越え、連日15億株(東証1部)の大商いが続くなか、オンライン証券の業績が急拡大している。すでに個人投資家の売買高の70%近くがオンライン証券経由とされ、証券業界の中でも一大勢力となりつつある。しかし、成長が加速する一方で、オンライン証券同士の競争は激化しており、寡占化、淘汰がさらに進みそうだ。

 個人投資家からのオンライン証券経由の売買が増加している背景について、市場関係者は「まずなんといっても売買委託手数料の安さだ」としている。売買株数や回数に関係なく1日2000円といった割安な手数料の設定の安さが人気を呼んでいるわけだ。さらに、一般の対面営業の大手証券や準大手証券に比べて、信用取引に必要な証拠金の金額のハードルがかなり低いこと(例えば、通常は200万円必要なのが、30万円程度で済むなど)もあげられる。また、最近の傾向として無視できないのが、個人の投資情報の入手ツールが多様化してきたことだ。「ひと昔前のように営業マンから投資情報を入手しなくても、パソコンを使用すれば、リアルタイムで膨大な個別銘柄に関する情報を低コストで手に入れることが可能になった」と市場関係者は指摘する。

 今年の場合、5月下旬から連日10億株を上回る出来高が継続するようになり、8000円レベルで低迷していた日経平均株価は短期間に30%以上の上昇をみせた。こうしたひさしぶりの活況相場を受けて証券各社の業績は急速に上向いているが、なかでもオンライン証券の業績の伸びは飛躍的となっている。今3月期の第1四半期(4〜6月)の連結経常利益で見ると、松井証券が前年同期に比べて5倍と急拡大したのをはじめ、イー・トレード証券は同2倍に、さらにDLJディレクトSFG証券やカブドットコム証券も信用取引顧客の積極的な獲得策が功を奏していずれも大幅増益を確保した。

 7月以降に日経平均株価が1万円を超えてからも、「循環物色が継続する展開が広がり、高水準の出来高が続いている。4月から9月までの中間期で見ても、大幅な増益基調が続くことはまず間違いない」(市場関係者)としている。

 こうした急速な収益の回復を反映して、オンライン証券の株価も様変わりの上昇をみせてきた。東証1部に上場している松井証券の株価は、5月初の700円前後の水準から1700円レベルへと、3カ月間で2倍以上の上昇をみせている。ただ、短期間で急上昇をみせた後だけに、今後の株価動向には波乱も予想される。

 投資環境の好転を受けて、一見絶好調に見えるオンライン証券業界だが、水面下ではかなり厳しい淘汰の嵐が吹き荒れているようだ。準大手証券の投資情報部では「松井証券を頂点とする大手4社のシェアが拡大傾向にあり、ほかのオンライン専業や、準大手証券の一部門としてやっているオンライン取引は、手数料の高さや顧客へ提供する情報の質の悪さ、さらに売買注文システムの使い勝手などの点から、将来的には淘汰される可能性が十分ありそうだ」と指摘している。

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