大手家電メーカーの第1四半期(4〜6月)の業績で明暗を分ける大きな要素となったのが、デジタル家電製品の販売状態だった。なかでもDVDレコーダーは、VTRに替わる日本発大型商品としての期待もかかるだけに、メーカーの株価にも大きな影響を与えることになりそうだ。
民生用電機大手5社(ソニー、松下電器、三洋電、シャープ、パイオニア)の第1四半期(4〜6月)の業績を左右したのはデジタル家電の売れ行きだった。DVDレコーダーなどの販売が好調だった松下電器の連結営業利益は前年同期比27%増となった半面、DVDレコーダーやプラズマテレビで出遅れたソニーの連結営業利益は同68%の減益を強いられた。これに伴い株価にも明暗がはっきりと出て、ソニーは時価総額で4年ぶりに松下電器に抜かれる事態となった。
DVDは既にレンタルビデオやゲームソフトなどの記録媒体として普及してきたが、ソフトを楽しむプレイヤーは再生専用であった。このDVDにテレビ番組などを記録できるようにしたのがDVDレコーダーで、VTRに代わる新しい家庭用録画装置としての普及が期待されている。特徴としては、高画質、高音質での録画が可能で、録画しながら再生もできる追っかけ再生や、長期保存に耐えうるという点がある。
DVDビデオ(再生専用プレイヤーや記録型レコーダーの合計)の国内出荷台数は2002年に67万5000台(前年比96%増)となり、VTRの57万9000台(同32%減)をはじめて上回った。その後、今年に入ってからは一貫してDVDがVTRを上回っている。DVDビデオのうち、レコーダーの割合はまだ30%程度に止まっており、今後急速な普及が期待されている。
現在の売れ筋は、パソコンで標準装備となっているHDD(ハードディスク)を搭載したタイプで、価格も10万円を下回る水準となってきたことから飛躍的な普及加速に期待が寄せられている。今年のDVDレコーダー市場は前年比約3倍の3000億円市場に拡大すると見込まれているが、今後は国内に加えて海外への普及も本格化することから、2005年には1兆円市場に急成長するとの試算もある。VTR以来、世界市場をターゲットにできる日本発の大型家電商品を誕生させることができなかっただけに、DVDレコーダーへの期待は大きい。今後焦点となるのは、中国に代表されるアジアメーカーによる低価格製品が品質面でどの程度キャッチアップしてくるかどうかだろう。
DVDレコーダー関連で活躍が期待できる企業としては、現在、シェアトップを占める松下電器をはじめ、パイオニア、三洋電機などの電機メーカー。また、光ピックアップレンズのコニカ、エンプラスや、精密モーターの日本電産、ミネベア。さらに、DVD製造装置の芝浦メカトロ、極東貿易、同製造装置機械のツガミ。DVD電源用ICのサンケン電気、DVDリモコンのSMK、DVD駆動装置制御用LSI向け試験装置の横河電機、光ディスク用金型の精工技研、DVD用小型電源の新電元、DVDプリント配線板の図研などが注目を集めそうだ。
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