NEC系のコネクタメーカーとして知られる日本航空電子工業が、次世代の携帯電話機部品関連で大きな恩恵を受ける可能性があるとして、株式市場で人気を集めることになりそうだ。同社の株価は、4月下旬の550円程度から5月末には750円程度へとハイピッチな上昇をみせてきたが、市場関係者のあいだでは「中期的には、今後も1000円台乗せに向けて上昇を続ける可能性がある」との見方も出ている。
同社が4月24日に発表した2003年3月期の連結決算は、売上高1055億円(前々期比2.9%増)、経常利益49億6000万円(同32%増)、純利益26億6100万円(同26%増)の大幅増益となった。これは、売上高の約68%を占めるコネクタ部門が自動車、携帯電話、デジカメなどデジタル機器向けに好調に推移したことが大きく寄与したためだ。
続く今期の2004年3月期の連結業績見通しについて会社側は、売上高1155億円(前期比2.6%増)、経常利益60億円(同21%増)、純利益38億円(同43%増)と見込んでいる。これは、カメラ付き携帯電話、カラー液晶折畳み式携帯電話、デジタルカメラなどの需要拡大からFPC(フレキシブル基板)コネクタが好調に推移するものと見込まれるためだ。実際にコネクタの月次受注額は、4月も前年同月比で18%増と2ケタの伸びを達成しており、これで昨年12月から5カ月連続で2ケタ伸長が続いたことになる。
また、自動車向けでは、エレクトロニクス化の進展からエンジンコントロール、エアバック、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)用などで、日産自動車以外の主要国内メーカーへの納入実績があり、トヨタへ直納できるメーカー2社のうちの1社を占めている。
さらに、株価上昇への支援材料として市場関係者は「北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が地対艦ミサイルを発射していることなどに伴って、日本独自でのミサイル迎撃システムの構築が急がれているが、防衛庁に対して航空システムなどの電子部品で納入実績のある日本航空電子への株式市場の関心が集まることも十分考えられる。また、東海、東南海大地震のシミュレーションが公開されたが、同社は宇宙・航空用機器の応用商品として感震機、各種地震観測機器を手掛けており、シェアも高いことから、地震関連株として注目する向きもありそうだ」と指摘している。
同社の株価は、業績の好調を評価して上昇しているものの、連結PER(株価収益率)は依然として18倍台と割高感のある水準とはなっていない。5月24日現在での信用取組も売り残高53万9000株に対して、買い残高25万株と売り残が大きく上回り、信用倍率は0.47倍と将来的な買い需要が上回っている。
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