2006年10月に韓国へ本格進出して以来、少しずつ市場に根を下ろし始めているGoogle。だが、韓国最大手の検索ポータルNaverなどと肩を並べるまでにはまだ程遠いのが現実だ。
しかし水面下の動きは活発で、Googleは6月に入り2つの韓国企業との提携関係を結んでいる。
1つ目はGoogleの検索エンジンも使っていた検索ポータル「Daum」との提携だ。6月初旬に両社は検索広告に関するパートナーシップを結んだほか、両社によるシナジー効果を高めていくため、広告以外のの分野でも協力を行うことで合意している。
ところでNaverに次ぎ、万年業界2位の座に甘んじているDaumは、今後動画サービスに注力する戦略をかねてより打ち立て実行している。そのため今回の提携からは、Googleの動画サイトYouTube、そしてGoogleが持つ強力な検索結果との連動などを通じて、動画分野で主導権を確実に握っていきたいという意図がうかがえる。
動画関連の提携に関して、Daum代表のソク・ジョンフン氏は「Daumの(同好会サービスで、最近動画機能を強化している)「カフェ」内における検索内容をGoogleに、そしてGoogleのYouTube動画をDaumに露出できるようにしているところだ」と述べている。DaumとGoogleが保有するもっとも代表的なサービス同士の連動だ。
YouTubeは最近、世界9カ国語に対応するなどサービスのグローバル化を図っているが、今のところ韓国語には対応していない。しかしDaumカフェとの連動が行われるならば、YouTubeの韓国語対応もそう遠くない話だろう。
さらにGoogleが提携した2つ目の韓国企業はdcinsideで、両社はコンテンツマッチング広告に関する契約を結んでいる。dcinsideはもともとデジタルカメラ製品情報を提供するウェブサイトであるが、今はむしろユーザーたちによる、ちょっと猟奇的で笑える投稿写真で有名になっている。
今回の提携を機にdcinsideでは、同サイト内の全コンテンツにマッチング広告を適用していく方針のようだ。また今後、同サイト内にある豊富な写真コンテンツを活かして、Googleとのサービス提携を深める可能性も十分にある。
今回Googleが提携した韓国企業はいずれもマルチメディアコンテンツを多く保有する企業だ。韓国ではユーザーが自ら撮影、編集した動画や写真などの「UCC(User Created Contents)」が大流行中で、選挙運動にまで利用されるなど、単なる投稿や観賞を超えたレベルで日常に定着している。Googleは韓国で事業展開するにあたって、メインの検索機能と同じくらいマルチメディア機能をアピールする必要がありそうな状況だ。
そのため今回の提携は、Googleとしては韓国企業の知名度を利用することで露出やユーザーの利用機会を増やし、自社のUCCコンテンツで市場拡大を図れるというメリットがある一方、韓国企業としては世界的な企業との協力でコンテンツを補強してサービスを充実させられるメリットがあるとも見られる。
実はDaumもdcinsideも、双方が代表自らGoogle首脳陣と話し合ったり、本社に赴くまでして契約を締結するほど、Googleとの契約締結に力を入れた。韓国での利用率は低いGoogleだが、こうした現状もかすむほど、韓国企業はGoogleの機能やコンテンツに魅力を感じているのだろう。
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