核問題で緊張する北朝鮮情勢。それはあらゆる場に影響を与えている。たとえばGoogleの韓国進出を産業資源部が支援するという提携を結ぶ際、同部は核問題でGoogleの意向が翻るのではと気をもんだ話は記憶に新しい。
こうした中、インターネットには、北朝鮮の動向に呼応しつつ反米の態度を表明するといった、いわゆる「親北」掲示物が多く残っているという問題が浮上してきた。韓国においてこうした内容の掲示物は「利敵表現物」として「国家保安法」に違反することとなる。
ところがこれに対し韓国政府の情報通信部による、掲示物削除などの対応が遅々としていたことから、親北掲示物に対する早急な対応が叫ばれた。
こうした状態を放置しておけない情報通信部は10月末、対策を発表した。ノ・ジュンヒョン情報通信部長官は懸案報告書で、情報通信倫理委員会(以下、倫理委)による親北掲示物の是正要求に対し、現在まで削除されていなかった削除未履行の掲示物2849件について、再度是正要求を行ったと明らかにした。これは長官名の「是正勧告」公文を発送して削除履行を促したという点から、親北掲示物に対する管理方針が強まったと見ることができる。
今後情報通信部は、国内外の親北掲示物の削除および遮断の有無を持続的にモニタリングしていく方針だ。毎週1回、削除の有無を確認するほか、国外にサーバーを置いた親北サイトに対しては、通信事業者と協力のうえ遮断の有無を毎日確認する。
さらに法律も若干変更される予定だ。じつはこれまで不法な掲示物に対する是正命令は、電気通信事業者を対象とする規定が電気通信事業法により決められていた。
そのため情報通信部では不法掲示物に対する規制の根拠を、現行の電気通信事業法から情報通信網法に移管。是正要求に対する長官の是正命令対象を、情報通信サービス事業者や非営利団体も含むウェブ全体の掲示板運営者に拡大する方針であるなど、法律の不備を改正し不法掲示物の削除を推進している。親北掲示物問題は今に始まったことではないのだが、北朝鮮の動きに対する危機感が世界的に高まっている今、Googleとの提携で産業資源部が心を砕くほど、それが韓国の政治や経済に与える影響は少なくないと見られる。だからこそ韓国内では大きな問題としてクローズアップされ、危機感を持った対応がなされている。
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