Skypeがとうとう、モバイル分野に進出する。同社は英国にて10月29日、「3」ブランドでモバイルオペレータ事業を展開する香港Hutchison Whampoaと共に、Skype内蔵3G携帯電話「3 Skypephone」を発表した。これにより、3のネットワークを利用する一種のMVNOを目指す。
3は文字通り3G専用オペレータで、英国で2003年3月3日にサービス開始した。現在、欧州とアジアの数カ国で展開している。英国では英Vodafone、独T-Mobile、仏Orange、英O2(スペインTelefonica傘下)の4強がほとんどのシェアを占める中、新しい形のオペレータを目指して奮闘してきた。データ定額制、インターネットパッケージ「X-Series」など、自社ネットワークの全ユーザーが3Gという強みを生かす戦略をとっている。
これまで4年間、試行錯誤しながら生き残ってきた3だが、英国では、年間のチャーン(他社に乗り換える利用者)率が3割近くと言われているし、せっかくの3Gも(データではなく)通話にとどまっているという指摘もある。現在英国3のアクティブユーザー数は約200万人。今回のSkype携帯電話は、同社が他社のようにブランドを目指すのではなく、VoIPを受け入れパイプ役に徹しようとする立場を改めて示すものといえる。また、増加するWi-Fiに対抗するものともとれる。そういえば、日本で同じような立場(新規参入、高速ネットワークのみ)にあたるイー・モバイルも10月初め、VoIP「Jajah」搭載を実現している。
Skypeは晴れてネットワークの利用を許可するパートナーを見つけたわけだが、課題はある。実は、3はすでにX-SeriesでSkypeに対応している。X-Seriesは約1年前にスタートしているが、Skypeの利用はそれほどでもなかったようだ。
今回のSkypephoneでは、Skype専用ボタンを搭載、ユーザーはユーザー名とパスワードを設定するだけでSkypeを利用できる。携帯電話でアプリケーションをダウンロードするのはいまだに障害といわれており、この部分を簡素化したSkypephoneで、どれくらい利用が増えるのか?--今度こそ、携帯電話でSkypeを利用したいユーザーがどれくらいいるのかが分かるだろう。しかも端末は2メガピクセルカメラなどそれなりの機能を揃えつつ、価格を49.99ポンドにおさえた。料金プランもプリペイドとポストペイドの両方に対応するなど、万全の準備だ。なお、3は、Skype通話4000分(約70時間)などのフェアユースポリシーを適用する。
Skypephoneは11月2日に英国で発売された。実は、英国は11月、ローンチラッシュだ。フィンランドNokiaの「Ovi」がオープンし、11月9日には米Appleの「iPhone」が登場、同じ週の6日には、英Sony Ericssonが新しい音楽サービスを発表した(サービスインは来年)。今年の年末商戦に向け、英国のモバイル市場の動向に注目したい。
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