DailyMotion対YouTube、戦いの火花は散っている(DailyMotionについては前回を参照)。
まずはDailyMotionから。GoogleがDailyMotionを意識して、YouTubeの欧州上陸発表の場にパリを選んだのだとすれば、DailyMotion側も迎え撃つ覚悟は十分のようだ。
それを示すビデオがDailyMotionのサイトにあがっている。「We Just Wanted to Say Hello」というビデオで、DailyMotionからと名乗る女性がGoogleの「Google Press Day」イベント会場(ここでYouTubeは発表された)に侵入(?)しようとした模様を撮影したものだ。DailyMotionスタッフが投稿している。
結局はセキュリティと事前登録がないことを理由に入場を断られたようだが、この女性が「Good Luck」というと、Googleスタッフは「Benによろしく」と返している(Benとは、DailyMotionの共同設立者、Benjamin Bejbaum氏のことと思われる)。こんなビデオを撮影し、アップするのがDailyMotionらしさというべきだろうか。同社は自社ブログでも“フランスナンバー1”を主張しており、これらに対するユーザーのコメントを見ると、「がんばれDailyMotion」とエールを送る人もいれば、「あのYouTubeに対抗するつもり?」という批判的な声もある。
YouTubeも負けてはいない。YouTubeはYouTube.frオープン時のウェルカムメッセージにシンガーのKaminiを起用したが、彼はDailyMotionのMotionMakerメンバーで、DailyMotionで人気が沸騰したといわれている人物だ。YouTubeスタッフによると、「喜んで引き受けてくれた」とのこと。YouTubeというブランド、リーチできるユーザーの規模が無視できないレベルだからだろう。このほかにも、YouTube.frオープンにあわせて、地元TV局のFrance 24、それにTour de FranceなどがYouTubeチャンネルを開設した。そして、6月末には欧州連合(EU)もYouTubeチャンネルをオープンした。このように、DailyMotionへの逆風はすでに吹いている。
一方で、逆の現象も見られる。フランスからのアクセスが4割近くを占めるDailyMotionだが、米国でも人気が出てきているようで、comScoreでは米国で人気上昇している動画共有サイトのトップとしている。DailyMotionによると、アメリカからのアクセス比率は18%という。
圧倒的なブランドと資金力、国際的なコンテンツを擁するYouTubeはローカルを狙い、ローカルが売りのDailyMotionは国際化を戦略の1つにしている。この2つの戦いが欧州でどのように展開されることになるのか、興味深い。かぎを握るのはユーザーだろう。ユーザーがコンテンツをつくるサイトであるだけに、これは間違いない。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」