「iPod」と「iTunes」でデジタル音楽市場を立ち上げた米Apple。欧州でもこのセットは人気だ。だが、iTunes Storeの欧州市場参入が遅れに遅れたこともあり、各国で地元のサービスが立ち上がっている。今回は英国とフランスのオンライン音楽事情を紹介する。
The Beatlesを生んだ英国では、英Virgin GroupのVirgin Digital、格安料金が特徴のWippit、おもしろいところではチャリティ団体が運営するOxfam Musicなどがある。
中でもユニークなのは、犬のマークが印象的なWippitだ。同社は、AppleがiTunesをスタートする以前からサービスを開始しており、英国ではナンバー2といわれている(トップはやはりiTunes)。
Wippitは2007年3月、ビデオアーカイブのITN Sourceと契約し、秘蔵といわれている60年代のThe Beatlesの動画を提供して話題になっている。実はこれには伏線があり、同社はこれに先立ち、おそらくマーケティング効果を狙ったと思われる“ミス”をしでかしており、こちらがまず話題をよんだ。この“ミス”とは、The Beatlesの動画ダウンロードサービスを発表するプレスリリースの配信トラブルで、プレスリリース配信日の約1週間前に、“The BeatlesがWippit上でダウンロード可能に”というタイトルだけを自社Webサイト内のプレスリリース一覧に並べた。だが、リンクをクリックしても本文は表示されず、“とうとうあのThe Beatlesがオンラインに?”と憶測だけが飛び交った。そして、リリース配信日には、歌ではなく動画ということが判明した、というものだ。
海の向こう側、シャンソンの国フランスでも国産音楽サイトは健闘を見せている。前回のコラムでも触れたFnacのデジタル音楽ストアFnacmusic。Fnacはフランスの大手メディアチェーン店で、ブランド力を強みに幅広いユーザーをつかんでいるようだ。
それに対し、MusicMeは生粋のオンラインショップ。しかも、他社が動画など多角化するなか音楽のみにフォーカスし、検索やナビゲーションを差別化としている。ローンチは2005年と遅れたものの、昨年末にスタートした無制限サービスが人気をよび、現在の月間ユニークビジターは125万人と加入者を増やしている模様。この無制限サービスは、月額14.95ユーロのダウンロード、月額9.95ユーロのストリーミングの2種類があり、PCと音楽端末はそれぞれ3台まで利用できる。iTunesやNapsterなど米国サービスが上陸する中、MusicMeは米国、さらにはアジア進出を狙っているという。
フランスの音楽ダウンロード市場は2007年第1四半期440万ユーロと前年同期比5.8%増。CDの売上げが前年同期比25.6%減となっていることを考えると、急成長といっていいだろう。まだ新しい市場だが、このところのトレンドはDRMフリーと無制限サービス。今年は音楽ダウンロードにとって転機の年となりそうだ。
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