尾関:ビットスタイル(編注:ビットバレーのイベント)とかで飲んだりしてるときに、「今度会社やるんだけど、リサーチの仕事してくれない?」って頼んだのが縁ですね。そしたら彼も参加したいって話になったんです。
小池:彼もその頃XML関連の会社をやってたね。
尾関:イージーネットって会社でしたね。
小池:それで二人で会社をやってきて……どっちが先だったっけ? サイバーエージェントに売ったのと、会長に退いたのは。
尾関:実は最初は僕の持ち株の3割くらいしか売っていなかったんですよ。その時に確か会長になったのかな。
小池:自分で作った会社の経営権とか社長とかオーナーシップという地位には未練はなかった?
尾関:そうですね。
小池:日本だと、すごくそういうのに未練を持ってずるずる行っちゃう人が多いんだけど、凄くスパッと身を引いたよね。
尾関:そう言われるとそうですね(笑)。
小池:その時、宇佐美さんはどうだったの? 引き継いでやってもいいよとか……。普通、2人で起ち上げた会社だと1人だけ抜けさせてもらえないってことの方が多いじゃない。
尾関:いや、彼も自分の流儀でやってみたいじゃないですか。それで、じゃぁお互い好きにやっていこうと。
小池:なるほどねぇ。そうすると会社作ってどれくらいで辞めたことになるのかな?
尾関:99年に創って2003年なんで、ちょうど4年くらいですかね。
小池:サイバーエージェントに一部資本参加してもらったのはいつ頃?
尾関:2001年頃ですね、確か。
小池:そうなってからも会長としては残ってたよね。
尾関:そうですね、形だけですけど(笑)。
小池:それで会長も辞めて、それから大学院に。
尾関:ちょうど大学院に行くのと同じ頃に会長も辞めました。
小池:なんでそこで大学院に行こうと思ったの?
尾関:学生の時に手伝っていた会社の社長が、大学院に行きだしていて、彼が私の自宅に大学院の願書を郵送してくれて「ベンチャー以外の世界もみて勉強しないと」と薦めてくれたので。
小池:そうなんだ。
尾関:それで願書まで送ってもらったんだし、受けるだけ受けようかなと思って……。
小池:それで受かっちゃったのか。それがいつなの?
尾関:2003年ですね。
小池:じゃあ卒業したばかり?
尾関:2年ですから今年9月に卒業しました。
小池:米国では大学卒業してそのまま起業家になる人って少なくて、卒業してからマイクロソフトやインテルなんかに入って2、3年経験して、それからMBAを取りに行って、卒業してからコンサルティングファームや投資銀行などに入って、いったん経営戦略やファイナンスのスキルを身に付けて、それからどこかのベンチャー企業にマネージメントで入って、そこでベンチャー経営を経験して、それから自分で起業する、と言ったキャリアパスが多いんですよ。
尾関:そうなんですか。
小池:キャリアパスの途中で大学院に入るっていうのは米国ではすごくよくあるケースです。日本だと大学卒業したのに就職先が無い 人が行ったり、もちろん学問を追及するために行くケースも多いけど、そういう位置づけで大学院があるんだよね。だから、自分のキャリアパスの中にはめ込んでやるって人はなかなか居ないかも知れないね。最近は日本でも社会人向け大学院が充実してきたので環境は整ってきているとは思うけど。で、大学院で学んだことは役立ってますか?
尾関:うーん、もうちょっと真面目にやっておけばよかったなと思います(笑)。
小池:実際に自分で事業やってから学校に行くと、授業に対する興味も違うんじゃない?ただ単に単位を取りに行くのと違ってさ。
尾関:経営の技術云々よりは今より視点を拡げてくれるような気がしましたね。
小池:ふーん。クラスメートとか先生とかの人脈なんかも広がるでしょう。
尾関:そうですね。今の役員なんかはその時の同級生だったりしますね。
小池:リクルーティングにも役立つんだ(笑)。
尾関:そうですね(笑)
小池:サイバーエージェントに行って、ネットエイジで修行して、自分で創業して、そこで一旦EXITした訳じゃない。一回リタイヤして、学校に行って、そしてまた起業しようと思ったのは、どういう心境からですか?
尾関:何かしら仕事をしてないと、なんかこう満足感が無いと言うか、現実感が無いと言うか。そういう感じはありましたね。
小池:じゃぁ、学校に行ってる間とか遊んでる間ってのは、充実感が無いとかそんな感じだったのかな?
尾関:そうですねぇ、一人じゃないですか。本とか一人で読んでると寂しくなるタイプなんですよ(笑)
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