Web 2.0の挑戦者:ウェブ上の情報の断片を「クリップ」で整理して共有できるClipmarks

文:Emily Chang 翻訳校正:吉井美有2006年08月29日 08時00分

 ClipmarksのEric Goldsteinとそのチームがメールでのインタビューに応じてくれた(2006年2月8日)。

Clipmarksはどのようなサービスを提供するWebアプリケーションですか。

 Clipmarksは、ウェブページ上にある情報の断片を、ページ全体をブックマークせずにクリップして、タグをつけることを可能にする無料サービスです(編集部注:このクリップされた情報を「クリップマーク」と呼んでいます)。

 ウェブ上の情報が多くなるにつれて、その意味を理解するのを助けるツールが必要になると、われわれは考えています。Clipmarksはこのサービスで、個人の情報の整理とコミュニティ内でのソリューションの発見を両立させます。整理のためのツールとしては、どんなウェブページの断片でもクリップできて、タグ付けや保存も可能にしたという点で、ブックマークの機能を大きく超えています。コミュニティのソリューションの発見の文脈では、コミュニティのメンバーおよびその他の人々がクリップした特定の情報を検索し、閲覧し、議論することができます。それぞれのクリップマークは元になるページへのリンク情報もありますから、欲しいコンテンツに加えてブックマークの機能も得られるわけです。

このプロジェクトを始めたきっかけは何ですか。

 わたしは、ウェブ上で見つけた情報を効果的に維持して、整理するいい方法が欲しいと常に感じていました。ページやリンクは役に立つことも多いのですが、特定の情報の断片を保存し、それを簡単に整理して簡単に取り出せるコレクションにしたいのです(ブックマークのリストを見て、その半分が一体何だったのか悩んだことのある人なら、わたしの言っていることがわかるでしょう)。Clipmarksはこのニーズにこたえようとするものです。

Clipmarksの運用や拡張にどのくらいの時間を割いているのですか。本業はお持ちですか。

 わたしは、Clipmarksに毎日15時間ほどを割いています。これはわたしの本業(day job=昼の仕事)であり、そういう意味では夜の仕事でも週末の仕事でもあります。Clipmarksに取り組んでいないときは大抵、寝ているか、妻や1歳になる娘と一緒に過ごしているか、アメフトのGiants戦を見ているかですね。

スタッフは何人くらいいるのですか。また、あなたの経歴をお聞かせください。

 現在、Clipmarksに取り組んでいるのは4人です。

Clipmarksメンバー写真

 Eric Goldstein(わたし):Clipmarksの共同創始者であり、最高経営責任者(CEO)です。わたし自身は技術屋ではありません。ロースクールに通いましたが、弁護士として開業したことはありません。わたしはいつでも、どうすれば物事がよくなりそうかを指摘して、それを実現しようとしています。これは、もし情報がうまく整理できれば、ウェブはずっといいものになると自分自身が信じているからです。一言で言えば、わたしはたくさんの本を読んでおり、Derekに出会い、それを試しにやってみた、ということです。

 Derek Krzanowski:わたしは共同創始者であり、技術責任者です。小学校6年生の時にコンピュータを触りはじめました。わたしの先生が、なにをどうしたものか学校を説得して、教室にPCを導入したのです。確かあれは、地区で初めてのマック以外のコンピュータだったはずです。わたしは表計算ソフトと数式に強い興味を持ち始め、すぐに「Quatro Pro」と「Microsoft Excel」を使えるようになりました。いつだったか正確には覚えていないのですが、その年のうちに先生から言われて他の学校の生徒たちにそれらのアプリケーションの使い方を教えに行ったことがあります。それから5年間は、コンピュータがどのように動作するのか、コンピュータで使えるアプリケーションをどう使えばいいかを徹底的に学びました。

 その後、わたしは思いがけない幸運に出くわしました。わたしが高校1年の時に、母のいとこがボストンから訪ねてきたのです。レストランで食事をしているとき、彼は自分がネットワークエンジニアをしていることと、それがどういう仕事なのかを話してくれました。わたしは、このレストランのメニューは自分が作成したものであることを控えめに説明しました。それを気に入ってもらえたのでしょう。彼はその夏、わたしを彼が働いている会社にインターンシップで呼んでくれました。それだけではなく、その夏の間、彼らは一度しか会ったことのないわたしを自宅に招いてくれたのです。彼らは本当にすばらしい人たちでした。とにかく、そのインターンシップの間に、わたしはハードウェアとネットワーキングについて学びはじめました。インターンシップが終わった後、その会社はわたしに、従業員が問題にぶつかった際にその調べ物を助ける人間として、電子メールを利用してパートタイムで働かないかと言ってくれました。わたしはウィスコンシン州の家に戻り、高校を卒業しました。わたしはあまり学校に行っておらず、ドロップアウトしてHSED(高校卒業資格:High School Equivalency Diploma)を取得しました(これはGED(一般修了検定:General Education Development Test)と似たようなものですが、若干よいものと考えられています)。

 その2月、18歳の誕生日の少し後に、わたしは後に5人の子どもの母親となる婚約者と一緒にボストンに引っ越し、その企業でフルタイムで働き始めました。そこで1年ほど集中してハードウェアとネットワーキングに関する知識を吸収した後、フロリダに引っ越すことを決めました。ボストンは本当にいい町なのですが、わたしたちの生活には合いませんでした。フロリダに移って2年間、ネットワークの設計やハードウェアのサポートをやっていました。そのころにウェブプログラミングで遊び始めたのですが、すぐにウェブプログラミングが自分の天職だと悟りました。そこで、新進気鋭のウェブ開発企業でプログラマーとしてフルタイムで働くことにしました。そこで2年間、昼夜もなく働いた後、ある人と自分の会社を立ち上げることに決めました。それが、友人の友人であったEricです。それ以来われわれは一緒に働いています。

 Adam Collett:チーフデザインオフィサーです。Adamはオーストラリアのブリスベーンで生まれ育ちました。彼は、若いころには音楽や雑誌を作ったり前庭にミニゴルフコースを造ったりと、いろいろなことをしていました。2001年にニューヨークに移り、ウェブプロダクション企業を興して「インタラクションデザイナー」になりました。彼はClipmarksのインターフェースを製作し、ユーザーが欲しいものを直感的に、なるべくすぐに手に入れられるようにすることに注力しています。

 Eric Weitner:シニアウェブデベロッパー。ボストン大学を卒業しており、認知心理学を優秀な成績で修めました。プログラミングのバックグラウンドは、UNIX/Linux、MySQL、PostgreSQL、Oracle、MacOS Xです。プログラミング言語はPerlとPHP、JavaScript、ASP、VB、XML、SQL、Actionscript/Flash、HTML、CSSなどを使っており、インターフェースの設計と正規表現を用いた構文解析に特に力を入れています。以前に関わったプロジェクトには、精神科病棟で用いるオープンソースのデータベースアプリケーションであるSQLClinicの開発とプロジェクトマネージャーがあります。PerlとMySQLを使いました。また、いくつかのプロプラエタリなウェブベースのデータベースアプリケーションも製作しており、それらは不動産管理や従業員管理、窓口管理など多岐に渡ります。

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