Web 2.0の挑戦者:コミュニティ連動型テレビ番組ガイドeVokeTV

文:Emily Chang 翻訳校正:吉井美有2006年08月11日 08時00分

eVokeTVのTony Buserとその他のメンバーがメールでのインタビューに応じてくれた(2006年5月8日)。

eVokeTVはどのようなサービスを提供するWebアプリケーションですか。

基本的にはテレビ番組ガイドです。使いやすさとコミュニティ構築機能が大きな特徴です。サイトにはその時点で放映されているすべての番組のチャットルームが用意されており、ユーザーは番組を観ながらリアルタイムで交流することができます。自分のサイトやブログに、自分がその瞬間に観ている、あるいはチャットをしている番組を表示できるスクリプトタグもあります。JavaScriptタグやRSSフィードを使って、その日の視聴リスト、最近評価された番組、最も評価の高い番組といった情報を自分のウェブサイトやブログに表示することもできます。

今後はリアルタイムチャットに力を入れ、ユーザーがチャット相手を簡単に見つけられるようにしたいですね。この機能は家族が居間に集まり、テレビを観ながら番組の話をしているような感覚を生み出します。画面に映っているものを茶化したりあれこれ言ったりする「Mystery Science Theater 3000」というコメディ番組がありますが、あのような感じです。

このプロジェクトを始めたきっかけは何ですか。

Salman FarmanfarmaianがUnconundrum, Inc.に来て、われわれに声をかけたのがきっかけです。開発作業は2005年9月頃に始まりました。もっと高機能で、高速で、使いやすい番組ガイドを作りたいと考えていました。ネット上にはすでにいくつかの番組ガイドがありましたが、その多くは遅く、広告だらけで、使いにくいものでした。また、テレビ関係のコミュニティは掲示板を中心にしたものが多く、もっと新しい方法、もっとおもしろい方法を使って、番組視聴者が交流し、関心を共有できるようにできるはずだと思っていました。

eVokeの運用や拡張にどのくらいの時間を割いているのですか。本業はお持ちですか。

Unconundrumでは他にも複数のプロジェクトに関わっていますが、現在、わたしが最も力を入れているのはeVokeTVです。昼も、夜も、夢の中でもeVokeTVの仕事をしています!:)

スタッフは何人くらいいるのですか。また、あなたの経歴をお聞かせください。

人数はとても少ないです。わたし(Tony Buser)はUnconundrumのCTOで、10年以上前からITとWebアプリケーション開発に携わっています。設計と開発の大半はわたしが担当しました。

Dan SmoreyはUnconundrumのプログラマです。アプリケーション開発経験は約10年です。専門はデータベースとミドルウェアです。

Warren PrinceはUnconundrumの最高経営責任者(CEO)です。Unconundrumはペンシルバニア州バクテルスビルにあるWebアプリケーション開発集団です。Warrenは分散型の仮想法律事務所Prince Law Officesの創設者でもあります。彼は1984年からソフトウェアシステムを設計しています。

Salman Farmanfarmaianはペンシルバニア州ウェインにあるベンチャーファンドSCP Partnersのプリンシパルです。彼はここ数年メディアの融合を研究しています。

Bobby Yablunskyは eVokeTVの顧問であり、SCP Partnersのベンチャーパートナーです。Bobbyは全米のベンチャー企業に戦略・戦術立案、資金調達、事業開発等に関する助言を提供しています。

あなたの設計哲学は何ですか。

KISS(Keep it simple, stupid:「常に簡潔に」の意)の原則を心がけています。

どのようなテクノロジを使用しているのですか。

eVokeTVのサイトはRuby on Rails、MySQLのほか、多くのJavaScriptとAJAXを使って構築されています。Ruby on Railsでアプリケーションを開発したのはこれが初めてではありませんが、最大のものであることは間違いありません。Ruby on Railsでなかったら、これほど短期間に、これほど大規模で保守のしやすいシステムを構築することはできなかったでしょう。

ユーザーやコミュニティから最もリクエストの多い機能は何ですか。

eVokeはDEMO 2006カンファレンスで始まったばかりなので、実質的にはまだベータの段階にあります。稼働期間は短いですが、ユーザーからはすでにたくさんのフィードバックが届いています。最もリクエストが多いのは無線テレビ放送の番組表です。これは当初の優先項目には入っていませんでした。ほとんどのリクエストはすでに対応済みか、間もなく対応予定のものに少し手を加える程度で済みました。

eVokeのユーザーは一部の地域に集中していますか、それとも広く分散していますか。

アクセス元に関するデータはまだきちんと調べていません。しかし、米国の主要なケーブル/衛星放送会社の番組表はすべて網羅しているので、ユーザーは全国に散らばっているのではないでしょうか。

半年後、あるいは2年後に、eVokeはどうなっていると思いますか。

われわれの第一の目標は、同じような興味を持っている視聴者がオンラインで交流できるようにすることです。自宅にブロードバンド環境があり、ネットに常時接続できるようになっている人の数はどんどん増えています。彼らはネットに接続している状態でテレビを観ています。こうした環境にある視聴者が、これまでは静的なものだったテレビ番組表を使って、テレビに関する動的なコミュニティを構築できるようにすることがeVokeTVの目標です。

この目標は半年後も2年後も変わらないでしょう。人々がもっと簡単に交流できるように手を加えていくだけです。

プロジェクトを成功させるのに最も難しいことは何ですか。

クリティカルマスを達成することです。われわれはテレビ視聴者が同じ番組を気に入っている人々と出会い、交流できるようにしたいと考えています。そのためにはロングテールの末端にいる人たちを結びつけること、つまり、特定のテレビ番組にマニアックな関心を抱いている少数の人たちがeVokeTV上で知り合い、孤独なテレビ視聴経験を双方向のコミュニケーションに変換できるようにすることが重要だと思います。これを達成できればeVokeTVは大成功です。そのためにはいかに多くのユーザーを結びつけられるかがポイントになるでしょう。

eVokeTVを次の段階に進めるためには何が必要ですか。

新しい機能を追加するたびに、サイトはどんどん変わっていきます。特に「段階」と言うものはありません。どちらかと言えば、改善の連なりです。サイトをどう改善するかを決めるにあたっては、ユーザーコミュニティの助言がとても役に立っていることを指摘しておきたいと思います。

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