佐々木俊尚
2005/06/15 12:36
検索エンジンの定義を見直すとき
検索エンジンマーケティング(SEM)をめぐる環境は、相変わらず激しく変化し続けている。背景にあるのは、GoogleとYahoo!、Microsoftという検索エンジン3強による競争が激化していることだ。この競争によって各社は新たなサービスを次々と投入するようになり、そしてその結果、検索エンジンの定義自体を変えてしまうような新たなパラダイムが登場しつつある。
それはたとえば、デスクトップ検索やビデオ検索、書籍全文検索、商品検索など、従来は検索エンジンがターゲットにしていなかったようなものを検索対象として取り込む動きが挙げられる。「ゆりかごから墓場まで」というわけではないが、人びとがコンピューティングの中で利用するありとあらゆるオブジェクトを、検索エンジンは覆い尽くそうとしているように見える。
一方で検索エンジンは、ブログなどで利用されているRSS検索やニュース、アラートなどによって、情報のシンディケーション(配信システム)との融合も強めつつある。これまでプル型のメディアであった検索エンジンが、プッシュ型のメディアを取り込もうとする動きを見せるようになっている。今後、検索エンジンは広い意味での情報シンディケーションの中の一環としてとらえられていくようになるかもしれない。
こうした状況が進み、検索エンジンのパラダイムが拡大していく中で、SEM自体も変容を迫られている。もちろんこれまでのオーガニックな検索エンジン最適化(SEO)が消滅していくということではなく、従来のSEOに新たに加わるかたちで、新しいタイプのSEOやSEMが今後増えていくということになるだろう。いわばSEOの定義の拡大とでもいうべき状況が起きつつあるのだ。
とはいえ、日本ではまだSEOというビジネス自体、ようやく定着しはじめたという段階。あるSEM業界関係者は、「国内ではSEOビジネスのプレーヤーは激増したが、質的な向上はまだまだだと思う」と指摘する。最近は大手広告代理店なども軒並みSEOをサービスのラインナップに用意するようになり、ネット広告にからむ企業でSEOを提供していないところを探すのは難しいほどになっている。
しかし実態を見てみると、「顧客サイトのHTMLの小細工など、技術的なことに終始しているだけのサービスも少なくない。顧客にヒアリングして検索キーフレーズの設定もきちんと行わず、HTMLをいじっているだけのSEOサービスが氾濫している」(先の業界関係者)と言う。
つまり本来はSEOというのはコンサルティング的なビジネスであるのにもかかわらず、そうしたコンサルティング的な要素を持つに至っていない企業が少なくないというのだ。しかし先に述べたように、SEOはその質と量を拡大し、コンサルティングとしての要素が重視される局面に入りつつあり、こうしたレベルのサービスしか提供できないSEOは今後、淘汰されていく可能性は高い。
以下、最近のSEM業界で注目されているいくつかの最新トレンドを紹介したい。
Google Sitemapsで検索エンジン管理?
Googleは、サイト管理者の側がGoogleに対してURLの一覧を提供できるというGoogle Sitemapsのベータ版提供を始めている。
これはかなり興味深いサービスで、利用する際には、Googleが提供している「Sitemap Generator」というツールを使うことも可能だ(Movable Typeなどを使う方法もある)。このツールを使って、自分のウェブページのURLと最終更新日時、更新頻度などの情報を作成し、そのXMLファイルをウェブサーバに置くだけでいい。あとはSitemaps側が自動的に参照し、Googleのインデックスに反映してくれる。
これまでGoogleのインデックスは、それがいったいどの程度の頻度でロボットを放ち、どのようにしてサイトをクロールしていくのかについて、サイト管理者の側は推測するしかなかった。だがこのGoogle Sitemapsによって、サイト管理者の側はリンクの一覧を自主的にGoogleのインデックスに渡せるようになる。更新頻度や、サイト内のページの優先順位などもデータに含めることができるため、サイトの構成をどうGoogleの検索結果表示ページ(SERP)に反映させるのかという点についても、ある程度はサイトの側がマネジメントしていくことが可能になったのである。
SitemapsはあくまでもGoogleのインデックスを強化し、インデックスに加えられるウェブページの数を増やすためのボランタリーなプロジェクトだ。Sitemapsを使ったからといって、SERPのランキングやページランクが向上するわけではないが、Googleのブログでは担当のShiva Shivakumar氏が、「ウェブページに対するインデックスの検索範囲を強化することができる」とコメントしており、SEO的な活用方法はさまざまに模索されている。
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