ドイツ、アメリカ、イギリスのと複数国の政府コンピュータシステムに、中国人民解放軍からと思われるハッカーの侵入があったことが次々と報じられた。
最初に話題にしたのが8月27日に発売されたドイツの雑誌シュピーゲル(Der Spiegel)。同誌はベルリンのドイツ政府の首相府、経済省、外務省、教育研究省に中国からのハッカーの侵入があったと報じた。ハッキング元を追跡すると、中国の広州と蘭州からだとし、この二都市には中国人民解放軍の軍事行動センターがあるとして、人民解放軍を疑っている。その前日にドイツのメルケル首相が訪中したこともあり、メルケル首相と中国の温家宝首相との首脳会談の後、中国政府は「中国も報道によりこの事件を知り、中国政府はこれを注視している。我々はいかなる(国を越えた)コンピュータシステムを破壊するハッカーの行為について阻止する」と発表した。
その発表の後日となる9月3日に、英国の雑誌フィナンシャルタイムズ(Financial Times)が、6月に中国からのハッカーが米国国防総省のコンピュータネットワークへの侵入に成功していたことを報じた。米国国防総省はそれは人民解放軍によるものとは断定していないが、ある政府高官はそれが人民解放軍によるものだと明言している。また米国の雑誌ジェンズディフェンスウォークリー(Jane's Defence Weekly)によると中国からの米国へのハッカーの攻撃は2004年から起きていると紹介している。中国外交部の姜瑜氏はペンタゴンへのハッカー攻撃の情報について「根拠の無いもので冷戦思考的だ」と否認し、「ハッキングの問題は国際的な問題で、中国も攻撃を常に受けている。中国は他国と共同してネットワーク犯罪を討つつもりだ」とコメントしている。また海軍少将で国防大学戦略研究部副主任兼戦略研究所所長の楊穀氏は「中国には軍部にハッキング部隊は存在しない」と中国メディアの東方早報に対しコメントしている。
さらに9月5日、英国の雑誌ガーディアン(The Guardian)は、外務省ほかいくつかの政府機関のコンピュータネットワークにハッカーからの攻撃があり、その中には人民解放軍とみられるハッカーの侵入があったと報じた。また2006年には英国議会下院のコンピュータシステムへのハッカーからの攻撃があり、それは中国のハッカー集団による組織的な行動であったと分析している。
9月6日の午前の時点で中国政府からのコメントはない。中国のポータルサイトの網易は、「中国国内には多数のセキュリティ的に安全でないコンピュータやネットワークシステムが多数あり、それを経由して中国と異なる第三国のハッカーが攻撃しているのではないか」という識者のコメントを紹介している。
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