中国で独自に開発された3G携帯電話規格TD-SCDMAの商用化に向けたテストが2007年大詰めを迎えるようだ。TD-SCDMAのキーマンによると、2007年10月にTD-SCDMAのサービスが正式に開始するという。端末の値段は既存のGSMの携帯電話の平均価格よりもだいぶ高い2000〜3000元(約3万2000円〜4万8000円)を想定しているそうだ。同氏は2008年の上半期に200万ユーザーを獲得すると想定している。
先日中国政府の情報産業部がWCDMA、CDMA2000を認証し、将来中国3G市場はTD-SCDMAを含めた三つ巴の戦いとなることが決まった。5月23日に開催された「2007TD- SCDMA端末産業フォーラム」では、中国国家発展和改革委員会がバックアップを表明したこともあって世界で普及する2つの3G規格が中国に上陸するにもかかわらず、TD-SCDMA陣営が勝利するだろうとする自信のコメントを発表している。具体的にはTD-SCDMA産業聯盟工作組長の趙宏氏が、将来中国の3G市場シェアについてTD-SCDMAが50%、WCDMAが40%、CDMA2000が10%となり、2010年にはTD-SCDMAの端末販売量は2200万台となるだろうという具体的な数字が出ている。TD-SCDMAは中国国内のメーカー主導ではあるが、今週、中国市場で携帯電話端末シェアNo.1のノキアが2008年の上半期にTD-SCDMA用端末を投入することを発表した。これによりTD-SCDMAはより安定した船出が予想される。
TD-SCDMA専用のスマートフォンは2007年下半期に投入されるといわれている。そのOSには、もっともTD-SCDMAに積極的な大唐電信が開発した、LinuxベースのOS「ARENA」が搭載されるという。ARENAは2004年より3年の歳月をかけて開発されている、中国初のスマートフォン向けのLinuxOSだ。その開発の目的はTD-SCDMAと同様に、外国企業にライセンスをできるだけ払わないことで、利益を上げたいという考えが根底にある。
また今週中国のリサーチ会社である易観国際(Analysys International)が発表したプレスリリースによると、2007年第1四半期のTD-SCDMAのテストは中国移動(チャイナモバイル)の主導の下、北京、上海、深センなど数都市でネットワークインフラがつくられ、それにまつわる市場規模は70億元弱(約1120億円)であることが判明した。中国発の規格だけあり、その市場シェアのほとんどは中国企業で占められた結果となった。
2009年には中国全土をカバーするとしているTD-SCDMA。ということは、既に一部の大都市でテストが行われていることもあり、2008年には北京をはじめとした大都市でTD-SCDMAが利用できることになることだろう。一方で、WCDMA、CDMA2000については、ようやっと認証されたばかりなので、北京五輪には間に合わないのではないかと中国メディアは論じている。
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