前回の記事で紹介した通称「お祈りパンダ(Worm.Nimaya。中国語名は熊猫焼香)」は、中国メディアによると中国で100万台以上のPCに感染し、中国国内だけで大流行したが、この作者が遂に御用となった。2月3日のことだ。
御用となったのは湖北省武漢市の25歳男性、李俊容疑者。李容疑者は2004年に専門学校卒業後、北京や広州でIT関係の職探しに明け暮れたが、結局就職できなかったため、憂さ晴らしにお祈りパンダウイルスを作成したという。また李氏を逮捕した後、亜種を作成し配布したとして、22歳の山東省の男性、21歳の浙江省温州市の男性、23歳の浙江省麗水市の男性、24歳の湖北省仙桃市の男性を逮捕した。
お祈りパンダウイルスの作者の李容疑者が捕まったのち、同容疑者によるお祈りパンダウイルスを削除するプログラムが公開され、中国の数あるダウンロードサイトからダウンロードできるようになった。このプログラムはファイル名、実行中のメッセージなどが簡体字中国語で書かれており、筆者が確認する限りWindows2000とWindows XPにおいて実行すると文字化けする。ちなみにこのプログラムは逮捕後獄中で看守の見守る中作られたものだ。
犯人が捕まると、中国の各IT系メディアは日本のワイドショーがごとく、このお騒がせのウイルスの作者の生い立ちを調べ、なぜこのようなウイルスを作成したかを考察する記事が多数リリースされた。
さて中国メディア各誌の獄中インタビューによると、お祈りパンダウイルスにより被害者の個人情報を得た後、個人売買サイトで被害者が出品、李氏がそれを購入するという自作自演の手段を用いて被害者のお金を吸い取り、120人の被害者から10万元(150万円強)以上手に入れたという。さらに李氏がお祈りパンダウイルスを流布した後、浙江省の悪徳ウイルス配布業者から購入したいという連絡があった。李氏はそれを承諾すると、業者から李氏宛に、はじめのうちは3500元(5万5000円弱)、のちに6000元(9万3000円超)が毎日振り込まれた。李氏が現在働いていた電脳街のショップでのアルバイトの月給が1000元(1万5000円強)であることを考えれば、その額の大きさをうかがい知ることができよう。
ある法律家は中国メディアのインタビューに対し「刑法286条によると、ウイルスなど破壊的なプログラムの作成は5年以下の懲役となるが、今回はその規模が大きかったので5年以上の懲役となるのでは」とコメントしている。
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