中国文化部、バーチャルマネーとリアルマネーの取引にメスか

 中国のコンシューマーのインターネットやPCの普及を後押しする要因に、中国産チャットソフトの「QQ」を筆頭としたインスタントメッセンジャー(IM)があり、また中国や韓国、欧米のオンラインゲームが挙げられる。中国ネットワークインフォーメーションセンター(China Internet Network Information Center:CNNIC)の最新の統計によると、2006年6月末の時点でインターネット利用者は1億2300万人であり、インターネットの用途について、全インターネット利用者のうちの42.7%がQQなどのインスタントメッセンジャーの利用と回答、31.8%がオンラインゲームの利用と回答し、いずれも数値から数千万人規模の利用者がいることは察することができる。QQでのチャットは無料だが、アバターやオンラインゲームなど付帯サービスを利用するなら「QQ幣」といわれるバーチャルマネーが必要となるし、オンラインゲームでもやはりそのゲーム用のバーチャルマネーが必要になる。

 そんなQQのバーチャルマネーQQ幣が先月話題になった。中国の学者が「中国人民元は発行数をコントロールしているが、QQ幣はいくらでも発行できる。QQの普及ぶりを考えるとQQ幣の流通量はばかにならず、中国国内における金融秩序を壊し、人民元の存在を脅かす存在となる」という意見を出し、中国メディアがこぞってこの問題について取り上げた。賛否両論ではあるが、現実問題として、中国のオークションサイトでは既にQQ幣と人民元との取引が行われている。

 一方12月に入り、オンラインゲームについてのバーチャルマネーについても、中国政府文化部の■祖海(■は度の又の部分が尺)氏は「中国政府はオンラインゲームにおけるバーチャルマネーやアイテム類とリアルマネーの交易を禁止しなければならない」とコメントし、オンラインゲームのバーチャルマネーやアイテムについての取引を禁止する法律を制定するであろうことを示唆した。こちらもメディアや利用者に大きな波紋を呼ぶ結果となった。例えば中国のメディア、南方日報は「そういった取引は実際に既に相当一般化した状況」と説明した上で「浸透したのに立法で禁止することはいいことか」と疑問を投げている。

 中国のリサーチ会社のiResearchによると、2004年の中国のバーチャルマネーやアイテムなどの市場規模を15億元(約225億円)としている。年々インターネット利用者も、オンラインゲーム利用者も増えているので、現在市場規模はさらに多くなっているだろう。中国最大のオンラインショッピングサイトの淘宝網には「オンラインゲームバーチャル商品交易区」という特設ページがあり、多数の商品が販売されている。

 仮に法律を制定しても、中国在住の人々を取り締まるだけでは全ては取り締まれない。中国にはゴールドファーマーと呼ばれる、極めて安い人件費で依頼者の代わりにオンラインゲームでの経験値やバーチャルマネーをひたすら稼ぐことを仕事とする人々がいる。それは中国国内からの依頼に留まらず、例えばアメリカのオンラインゲーマーが、アメリカの代理商を通して仕事を依頼するということもある。海外の依頼者はもちろん、そもそもバーチャルアイテムを出品しない下働きのゴールドファーマーに法律が適用されるのかは不明だ。中国政府がよしと思わぬバーチャルマネーとリアルマネーの取引だが、いかに取り締まるのか興味深いところだ。

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