新華社、外国通信社の中国向け配信を規制する新条例を発布

 中国政府の宣伝機構であり中国最大の通信社である新華社は、9月10日にReutersやBloombergやDow Jonesら中国外の国際的な通信社に対し、中国内への報道は新華社のチェックを通さなければいけないという新条例「外国通訊社在中国境内発布新聞信息管理辧法(直訳:外国通信社の中国国内におけるニュース発布情報管理方法)」を発布した。この条例はニュース情報の中国本土の顧客への販売だけでなく、銀行や金融サービスへの情報提供も含まれる。香港、マカオ、台湾に関しては「この条例を参照するように」という程度にとどめている。

 条例では中国内で発布する内容を規定しており、中国統一を破壊する内容、中国の宗教政策や邪教迷信を広める内容、民族の団結を壊す内容、猥褻な内容、中華民族の風俗習慣を侵害し感情を傷つける内容、虚偽の内容を散布し中国経済を混乱させる内容、社会道徳や中国の文化伝統に危害を与える内容、その他法律や条令で禁止されている内容に関して禁止するとしている。この規定に背いた場合、配信資格取り消しの処置を受ける。

 一方で条例では、外国の通信社に対して著作権を保護するため、中国内の顧客である中国の通信社が外国の通信社からニュースを購入し、中国の通信社が公開した際、ニュースソースがどの企業であるかを明記することも保障している。

 欧州委員会はこの条例発布を受け、大いなる憂慮を表明した。欧州委員会のスポークスマンのJohannes Laitenberger氏はベルギーの首都ブリュッセルにおいて「このような規制性のある措置に強く反対を表明する」とコメントした。欧州委員会は10月に北京で開催される人権対話の中で提示される議題の1つして、言論の自由についてを論議しようと計画していたその矢先の条例の発表だった。

 条例の前にも似た内容の条例はあった。1996年4月15日に発布された「外国通訊社及其所属信息機構在中国境内発布経済信息的管理辧法(直訳:外国通信社及びその所属する情報機構の中国内における経済情報の管理方法)」というものだ。Reutersは新条例の発表を受け「私達はこの規定を真摯に研究し、現行の規定とどのような違いがあるのかを知り、新華社と具体的な規則について討論する」とコメントしている。BloombergとDow Jonesはコメントを拒否している。

 新条例発布のニュースは新華社が10日に報じた後、多くのニュースサイトに転載され、また多くのブロガーも記事にした。ブログだけでなく、中国のほとんどのニュース記事は読者の感想が書けるシステムとなっているが、発表から2日経った12日現在どのニュースについても読者による感想はいまだ書かれていない。

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