韓国ではサムスン電子、LG電子に続くPCメーカーの三宝コンピュータ(トライジェム、略称TG)が2005年に日本で言うところの会社更生法にあたる法廷管理となり、現在次なる主人を探している。TGは法廷管理下後も、ノートPCや複合機などは継続して発表し、広報なども続けていたが、8月上旬に「第3者有償投資」方式で企業を買収することを公示、同時にM&Aは公開競争の方式で進めることを決定した。
この決定に対し、韓国のマスコミは「三宝を買うところなんてあるのか」と買い手が現れないという展望が支配的だったが、実際に蓋を開けてみると韓国国内外の7社が三宝コンピュータの買収に手を挙げた。その中に中国のレノボがいた。ちなみに他の企業では、中国の家電の雄ハイアール、韓国のIT(HDD)部品会社のH&T、日本でノートPCなどの製造・販売を行うMCJ、ファンドのMBKパートナーズなどが名乗りを挙げている。
「安ければ買う」という企業もある中、積極的な動きを見せていると韓国で噂になっているのが、レノボとH&T。ことレノボは世界的な大企業だということは韓国でも認知されており、韓国では「韓国メーカーが海外メーカーに買われるのか」と、状況を見守っている状況だ。
一方この話題を中国側から見てみると、8月末からレノボが買収するとの噂が中国メディアによって報じられている。買収金額は2000〜2500億ウォン(約240〜300億円)を提示している一方で、中国メディアの質問に対し、8月末にレノボ上層部は「知っての通り、IBMのPC部門を買収した。なんでさらに負債の山を抱えた企業を買収する必要があるのか」と否定のコメントも出している。日が変わって9月1日にレノボは「まだ買収するかどうかを決定していない」というコメントを発表している。
中国のPCリサーチの専門家も、レノボは買収しないのではないかと予想している。「三宝の負債額は問題ではない。問題はネームバリューや開発力。買収によりレノボにプラスになるのか甚だ疑問」と中国メディアにコメントしている。
韓国の裁判所では、9月27日にどの企業が買収するかを決定するとのことだが、売却金額を巡って、買い手と売り手との間で差がありそうで、そう簡単に買収手続きは行えないのではないかとの見方が韓国では多い。レノボが実際買収に動くかどうかその動向には要注目だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力