「華流ITマーケットウォッチ」では、中国・瀋陽に合弁会社を設立し、オフショア開発や中国市場調査を行うメイプルカンパニーの包偉(バオ・ウィ)が、中国のIT事情を紹介する。今回は、インターネットのポータル/検索サイト事情についてレポートする。
中国のインターネット利用者数
まず、中国でのインターネットの普及状況を見てみよう。中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は、2005年6月30日時点でのインターネット利用者数が、前年同時期比30%増の1億300万人に達したと発表している。このなかで最も多いのは学生(利用者全体の33.2%)で、その次に多いのがIT関係の技術者(同11%)だ。地域別にみると、圧倒的に都市部の利用者が多く、トップの北京(同27%)に、上海(同25%)が続く。また、利用者の年齢層は35歳以下が全体の8割以上を占めている。
このように中国では、インターネットが都市部の若者を中心にしか普及していないのが現状である。その一方で、この市場が日本の総人口を追い越すほどの広がりを見せていることも事実だ。そして、著名な検索サイトやポータルサイトは、この広大な市場でさらに多くの利用者を獲得しようと、激しい競争を繰り広げている。
利用者数:
1.03億人(2005年6月30日) CNNIC発表
「.cn」ドメインの登録件数:
91万2844件(2005年10月31日)CNNIC発表
検索サイトとポータルサイトの使い分け
日本では、いわゆるポータルサイトが、ニュース/株価/スポーツなどの情報や無料メールサービス、チャット機能のほかに、検索機能も提供していることが多い。ほとんどの場合、利用者は自分が今アクセスしているのが、ポータルサイトなのか、検索サイトなのかを意識しない。
しかし、中国では多少事情が異なる。2005年10月末時点で「.cn」ドメインの登録件数は既に91万2844件に達し(CNNIC調べ)、日本の「.jp」ドメインの登録件数77万7239件(2005年12月1日時点)を上回っている。しかも中国では登録ドメイン数が急速な勢いで増えており、2004年10月と比較すると、2005年10月にはその数が2倍以上になっている。こうした状況に対処するために、中国では検索専門のサイトに対するニーズが高まっている。これらの検索専門サイトは、ニュースやコミュニティ機能を提供するポータルサイトとは区別されており、ユーザーは目的に応じてそれぞれを上手に使い分けているようだ。
たとえば、一般的な利用者は、ポータルサイトの「SINA.com」で最新のニュース情報を収集し、「SOHU」でオンライン同窓会に参加し、「NETEASE」でウェブメールを利用するといった使い方をしている。また、情報検索が中心というネットユーザーのなかには、検索エンジンの「Baidu」でニュースを検索し、「3721」で企業名や商品情報を検索し、「Yahoo!中国」で娯楽・スポーツ情報や株価の検索などを行う人もいるようだ。
次項では、これらの各サイトについて具体的な特徴を説明したい。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス