「OnePlus Open」レビュー:ハード面は魅力的だがサムスンに対抗するには不十分

Eli Blumenthal (CNET News) 翻訳校正: 編集部2023年11月01日 07時30分

 OnePlusは「Never Settle」(進み続ける)をスローガンに掲げるスマートフォンブランドだ。同社初の折りたたみスマートフォン「OnePlus Open」(1699.99ドル、約25万5000円)は、(いくつかの奇妙な問題はあるにせよ)このスローガンを体現する魅力的なハードウェアを実現している。しかし、すでに市場で高い評価を確立している折りたたみスマートフォン、例えばサムスンの「Galaxy Z Fold5」などと比べると、特に米国での売れ行きは厳しいものとなるだろう。その理由は、ソフトウェアと価格にある。

OnePlus Openを開いた様子
提供:Numi Prasarn/CNET

 この製品を数週間試用した結果、特にハードウェアに関しては、OnePlusの強力な最初の取り組みを称賛したい。しかし、米国におけるOnePlusの積極的な下取りキャンペーンを利用しても、どのようなスマートフォンでも(古いものや壊れたものでも)下取りでオープン価格から最低200ドル(約3万円)値引きされるという内容では、下取りと融資プランで競合機種から800ドル(約12万円)以上値引きされるキャリア割引に対抗するのは難しい。特にサムスンのソフトウェアが折り畳み式ディスプレイにはるかに高度に最適化されていることを考えると、これは堅実な取引だ。

 米国の折りたたみスマートフォン市場には競争が必要だ。その意味では、OnePlus Openは注目に値する選択肢だと言える。しかし、大枚をはたいてOnePlus Openを手に入れる前に、競合機種や第2世代の登場まで待つという選択肢も検討した方がよいだろう。

良い点:ハードウェア

OnePlus Openのカバー画面
提供:Numi Prasarn/CNET

 OnePlus Openのデザインは、Googleの「Pixel Fold」とサムスンのGalaxy Z Fold5の中間といったところだ。外側にある6.31インチのカバーディスプレイは、Pixelの5.8インチのディスプレイほど幅広ではないが、Galaxy Z Fold5の6.2インチのディスプレイと比べれば格段に持ちやすく、使いやすい。

 内側のメインディスプレイは7.82インチで、Googleやサムスンの7.6インチよりもやや大きい。カバーディスプレイとメインディスプレイどちらも2K解像度の鮮やかな有機ELパネルを採用しており、最大120Hzの可変リフレッシュレートに対応する。タブレット並みの大きなメインディスプレイは、リフレッシュレートを最小1Hzまで落とすことができるため、なめらかなスクロールやゲームプレイが楽しめる一方で、バッテリー駆動時間も伸ばせる(カバーディスプレイのリフレッシュレートは最小10Hz)。

 ハードウェアに関しては、特に端末の薄さと、メインディスプレイの折り目が目立たない点が好印象だ。

OnePlus OpenでYouTubeを視聴する様子
提供:Numi Prasarn/CNET

 サムスンやGoogleの折りたたみスマートフォンと比べると、OnePlus Openは薄い。折り目は手で触れれば分かる程度だ。角度によっては見えることもあるが、昼間に「Chrome」ブラウザーでネットを見たり、「WhatsApp」でメッセージを送ったり、「Googleマップ」で経路を確認したりした時も、夜に「YouTube」を見たり、「Disney+」で「Loki」を視聴したりした時も、折り目の存在には気付かなかった。

 一部の動画は、「iPhone 14 Pro Max」などと比べるとシャープさに欠けたが、動画設定で「動画カラーブースト」や「明るいHDR動画モード」などを有効にすることで解決できた。

 スピーカーはDolby Atmosに対応しており、クリアな音が楽しめるが、音量がやや小さい。また、競合機種よりも本体の厚みがないが(レビューに使った「エメラルドダスク」モデルは、折りたたみ時の厚み11.7mm、重さ245g、「ボイジャーブラック」モデルは厚み11.9mm、重さ239g)、「アラートスライダー」などの定番機能は引き続き搭載されており、端末の右側にあるスリープ/スリープ解除ボタンには指紋センサーも組み込まれている。

 OnePlus Openは折りたたんだ時に中央に隙間ができない。これはサムスンが5世代をかけてようやく達成したものだ。

OnePlus Openの側面
提供:Numi Prasarn/CNET

 ディスプレイを閉じた状態から開くのも楽々だ。Pixel FoldやGalaxy Z Fold5といった競合機種と比べても、少ない力で開くことができる。まだ使い始めてから数週間しかたっていないため、数カ月後、数年後にどうなるかは予測できないが、現時点での印象は上々だ。

 OnePlusによると、端末に不具合が生じた場合は米国内の修理店ではなく、直接OnePlusに連絡する必要があるという。

 同社は米CNETの取材に対し、通常の製品保証に加えて、「OnePlus Careのような保険サービスを導入し、修理の代わりに端末自体を交換する新たなサービスを導入」予定だと述べた。この新サービスには99ドル(約1万5000円)で加入でき、「標準の製品保証の対象となる修理であれば、新品か整備済の端末と交換する」という。

ベンチマーク、バッテリー、興味深いハードウェアの選択

 OnePlus Openに搭載されているプロセッサーは、Galaxy Z Fold5と同じく、Qualcommの「Snapdragon 8 Gen 2」だ。RAMはGalaxy Z Fold5が12GBであるのに対して、OnePlus Openは16GBとなっている(ストレージ容量は512GBのみ)。パフォーマンスは軽快で、アプリの起動も速い。

 通信機能については、AT&T、Verizon、T-Mobileの5Gネットワークに対応している(ただし、スタジアムのような大規模施設でよく見られる、ミリ波と呼ばれる高周波数帯の5G接続はできない)。AT&TやT-MobileのSIMカードも問題なく使えた。

 ベンチマークスコアに関心がある人のために、今回のレビューでの結果を以下に記す。

ベンチマークテストの結果

機種ごとのベンチマークスコア

 OnePlus Openは、ハードウェア面でいくつかの興味深い特徴がある。まずはバッテリーだ。

 バッテリー容量は4805mAhあり、動画を見たり、写真を撮ったり、WhatsAppなどのアプリを使ったりとハードに使っても、1日程度なら余裕で持った。ちなみに、こうした作業には内側の大きいメインディスプレイを使うことが多かった。

 最近のスマートフォンでは珍しいことだが、OnePlus Openには(USB-A to USB-Cタイプだが)67Wの充電器が同梱されている。バッテリーが切れた状態から有線で充電してみたところ、8分以内に25%、15分で43%、18分で50%まで充電できた。30分では76%になり、最終的には44分足らずで100%まで充電できた。

 米CNETによる45分間の耐久テストでは、「YouTube TV」のストリーミング再生、「TikTok」の閲覧、ゲーム「アスファルト9:Legends」のレースを数回、WhatsAppでのビデオ通話、メインディスプレイでのウェブ閲覧をWi-Fi回線で行ったところ、バッテリー残量は100%から約88%まで減った。これはGalaxy Z Fold5と同等だが、Pixel Foldよりは悪かった(Pixel Foldはバッテリーが5%しか減らなかった)。

45分間のバッテリー耐久テスト

バッテリー耐久テストの結果表
(パーセンテージが低い方が優れている)

 次は、気になる点を見ていきたい。OnePlus Openはワイヤレス充電に対応していない。最近のスマートフォンはワイヤレス充電に対応していることが多いことを考えると意外だ。1000ドル(約15万円)をはるかに超える価格であることを考えると、なおさら違和感がある。まるで2019年のOnePlusの時代に戻ったようだ。

 防水性能は「IPX4」となっており、サムスンのGalaxy Z Fold5には劣るが、水しぶき程度なら耐えられる。Galaxy Z Fold5は「IPX8」を取得しており、水没しても壊れない(ただし、どちらの端末も耐塵性能はないため、ビーチには持って行かないこと)。

 OnePlus Openにはワイヤレス充電機能も、高度な防水・防塵機能もないが、奇妙な機能が1つある。スマートフォンをリモコンとして使うためのIRブラスターだ。OnePlus Openには「IR Remote」という便利なアプリが搭載されており、ケーブルテレビのチューナーからテレビ、電気ヒーターや空気清浄機まで、さまざまな機器を簡単に操作できる。

 複数のテレビで試したところ、驚くほどうまく機能したが、2023年というより、2013年の機能のように感じられることは否めない。

カメラ:OnePlusらしさは健在

閉じてカメラバンプが見える状態のOnePlus Open
提供:Numi Prasarn/CNET

 OnePlus Openには5つのカメラが搭載されている。まず、カバーディスプレイに固定焦点のメインカメラ(3200万画素)、内側のディスプレイに固定焦点のカメラ(2000万画素)が配置されている。背面カメラはトリプル構成となっており、今回も老舗カメラメーカー、Hasselbladと共同開発した4800万画素のメインカメラ、6400万画素の望遠カメラ、4800万画素の超広角カメラが配置されている。望遠カメラは6倍ズーム(光学3倍望遠レンズのインセンサーズーム)と120倍デジタルズーム、超広角カメラは0.6倍ズームに対応しているという。

都会の広場を写した写真
超広角カメラで撮影
提供:Eli Blumenthal/CNET
同じ広場を等倍で撮った写真
等倍の写真
提供:Eli Blumenthal/CNET

 3つの背面カメラで撮影した写真は、悪くない仕上がりだ。十分な明るさがあれば、かなりいい写真が撮れる。しかし、じっくりと観察してみると、米CNETのAndrew Lanxon記者が2月に「OpePlus 11」のレビュー記事で指摘したことが今回も起きていることが分かる。サムスンの折りたたみスマートフォンと比べると、例えばGalaxy Z Fold5で撮影した写真は彩度が高すぎるものの、個人的には細部の表現やシャープさの面でOnePlus Openのカメラを上回っていると感じた。

 6倍ズームは楽しく、驚くほどいい写真も撮れた。しかし120倍のデジタルズームは、画質の点でも、ピント合わせや手ぶれの抑制など、撮影自体に手間がかかるという点でも、サムスンが「Galaxy S20」で初導入した100倍ズーム機能「スペースズーム」をほうふつとさせた。

 「120倍」という数字は宣伝文句としては魅力的だが、日常的な利用ではあまり活用できる場面はなさそうだ。

ビルを6倍ズームで撮った写真
6倍ズームの写真
提供:Eli Blumenthal/CNET
同じビルを120倍ズームで撮った写真<br>提供:Eli Blumenthal/CNET
120倍ズームの写真
提供:Eli Blumenthal/CNET

 ズームインするとディスプレイ全体が紫色になるという奇妙な現象も起きたが、自然に治り、その後再発はしていない。

 10月中旬にソフトウェアアップデートが配信されたことも指摘しておく価値があるだろう。今回のアップデートでは、「特定のシーンでの露出オーバーの最適化」と「夜景の望遠撮影時の鮮明度の強化」が行われたという。

夜、ビル街にある黄色いオブジェを撮影した写真
最近のソフトウェアアップデートを適用後に撮影
提供:Eli Blumenthal/CNET
夜のレストランで人形を撮影した写真
ソフトウェアアップデート前に撮影した写真
提供:Eli Blumenthal/CNET

 内側のディスプレイとカバーディスプレイに配置されたインカメラを使って、Wi-Fi回線に接続した状態でWhatsAppを使ったビデオ通話も試してみたいが、問題なく使えた。端末を開いた状態で、大画面で行うビデオ通話は明るくて快適だった。サムスンのGalaxy Z Fold5は、ディスプレイの下にカメラが隠されているが、OnePlus Openのカメラはパンチホール式だ。このため、カメラを使用していない時は未来的な雰囲気が損なわるが、このデザインのおかげでカメラの鮮明さやシャープさはやや向上している。

カメラに向かってほほ笑む4人の人物
3200万画素の前面カメラで撮った写真
提供:Theodore Liggins/CNET

 他の折りたたみスマートフォンと同様に、OnePlus Openでも、カバーディスプレイに配置されたインカメラだけでなく、高性能な背面カメラも自撮りに使える。やや持ちにくさはあるものの、解像度の高いレンズを有効活用できるのはうれしい。

ソフトウェア:折りたたみ式ならではの工夫がほしい

 OnePlusは長年、素のAndroidに近い独自OSを自社のスマートフォンに採用してきた。この伝統は「OxygenOS」でも健在だ。OnePlus Openに搭載されている「OxygenOS 13.2」は、Android 13をベースにしており、OnePlusは4年間のAndroid OSのメジャーアップグレードと5年間のセキュリティアップデートを保証している。

 同社によれば、Android 14は2023年末「頃」に提供予定だという。

 他のOnePlus端末と同様に、OnePlus Openにも「Zen Space」(スマートフォンから離れるためのアプリ)や「O Relax」といったリラックス用の純正アプリが搭載されている。ただ、どちらも目立った特徴はなく、特別に役に立つこともなかったため、筆者は使わなかった。

 「Clone Phone」という変わった名前のアプリもある。これは、前のスマートフォンからOnePlus Openへ(あるいはOnePlus Openから新しい端末へ)データを転送するためのアプリだ。

 筆者の考えでは、OnePlus Openの最大の問題はマルチタスク用のソフトウェアにある。この記事では、サムスンの折りたたみスマートフォンとの比較をしてきたが、これには理由がある。現在、米国の折りたたみスマートフォンの基準はサムスンが作っている。Galaxy Z Foldはすでに5世代目を迎えており、その差はソフトウェアの洗練度の違いにも見て取れる。

マルチタスク中の画面
提供:Numi Prasarn/CNET

 OnePlus OpenとGalaxy Z Fold5はどちらもマルチタスクに対応しており、タスクバーから新しいアプリを簡単に呼び出せる。Galaxyの方が複数のアプリを並べて実行しやすいが、ディスプレイの上部から2本指で下方向にスワイプするジェスチャーで、素早くマルチタスクを有効にできるOnePlusの仕様も好きだ。

 しかし、WhatsAppと「Googleスプレッドシート」を同時に実行する場合は、Galaxy Z Fold5の方がウィンドウの大きさをはるかに柔軟に変更できる。OnePlus Openは、これらのアプリをウィンドウのように扱い、画面分割アプリのように画面サイズを調整して両方のアプリを同時に実行できるようにする代わりに、片方を見えない場所に追いやってしまう。

 3つ目のアプリを立ち上げるのも、Galaxy Z Fold5の方がはるかに簡単だ。Galaxy Z Fold5は、WhatsAppやGoogleスプレッドシートの起動中でも、Chromeを簡単に立ち上げ、好きなサイズに変更できた。一方、OnePlus Openでは同時に動かせるアプリは最大2つで、3つ目は下のウィンドウに隠れてしまう。

 この点については、OnePlusが今後、時間と労力をかけて改善してくれることを期待している。また、スマートフォンをPCのように使えるサムスンの「DeX」モードのような機能もほしい。これができれば、モニターに接続するだけで、高性能なスマートフォンを本格的なコンピューターに変えられるだろう。

OnePlus Openは「買い」か

提供:Numi Prasarn/CNET
提供:Numi Prasarn/CNET

 OnePlus初の折りたたみスマートフォン、OnePlus Openには、確かに多くの魅力がある。カメラには改善の余地があるものの、薄型のデザイン、鮮やかなディスプレイ、有線での急速充電など、ハードウェアとしての出来映えはすばらしい。急速充電器とケースが同梱されていることもポイントが高い。

 ソフトウェアも有望だ。折りたたみスマートフォンならではの大画面を活かすには、さらなる改良が必要だが、これはGoogleがAndroidの体験を改善していくなかで、部分的に解決されるだろう。しかし、確かにOnePlusは4年間のOSメジャーアップグレードを保証してはいるが、今後の改善に期待して製品を買うべきではない。

 つまるところ、OnePlus Openの最大の問題は、長年同社を悩ませてきた「価格」、つまりコストと効果のバランスにある。下取りや乗換えキャンペーンを利用すれば、競合するGalaxy Z Fold5やPixel Foldを大幅な割引価格で購入できることを考えると、OnePlus Openの1700ドルという価格を正当化することは難しい。サムスンも米国向け公式サイトで定期的にセールを実施している。このため、Galaxy Z Fold5の方がソフトウェアは充実しているにもかかわらず、OnePlus Openよりも安く手に入る可能性が高い。

 2023年のホリデーシーズンに折りたたみスマートフォンを買いたいなら、OnePlus Openは候補の1つとなるだろう。しかしサムスンの折りたたみスマートフォンを買った方が、おそらく満足度は高いはずだ。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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