Teslaの投資家は、投資家向けイベント「2023 Investor Day」で目新しい発表がなかったことに落胆しているかもしれない。しかし、この製品の発売開始で気分は変わったはずだ。
Teslaは、同社のピックアップトラック型電気自動車「Cybertruck」の特徴的な鋭い角度のついたデザインに「インスパイアされた」300ドル(約3万9300円)のワイヤレス充電器「Wireless Charging Platform」の発送を開始した。Wireless Charging Platformは、よくあるワイヤレス充電器ではない。30個のコイルを内蔵しており、「FreePower」技術により、スマートフォンやQi規格対応のデバイスをどこでも好きな場所に置いて充電できる。コイルの場所に合わせて、デバイスの置き場所を微調整する必要はない。
ピンと来た人もいるかもしれないが、FreePowerはNomad Goodsの「Base Station Pro」を支える技術でもある。Base Station Proは、デバイスを置くだけで充電できるワイヤレス充電パッドの先駆けだ。厳密に位置を合わせなくても、好きな場所に置くだけで充電ができる。これは確かに宣伝文句通りの逸品だった。しかし、発売からわずか数週間後にAppleからiPhone用のワイヤレス充電システム「MagSafe」を搭載した「iPhone 12」が登場すると状況は変わった。FreePower v1は、iPhoneに内蔵されたマグネットをうまく扱えなかったからだ。FreePowerは、この技術の設計を一から見直した。今回発売されたWireless Charging Platformに採用されている同技術は、AppleのMagSafe技術との互換性に関する問題がすべて解消されている。
筆者はこの24時間、Wireless Charging Platformを使い続けているが、TeslaとFreePowerの言葉に偽りはなかった。つまり、2台のスマートフォンと「AirPods Pro」や「Pixel Buds Pro」を同時に充電できている。大型のスマートフォンを2台置くと空きスペースがほとんどなくなるので、イヤホンの充電ケースの置き場所を工夫する必要はあったが、無事3つとも置くことができた。
本体には同時に最大3台のデバイスを置くことができ、デバイス1台当たり最大15Wの充電が可能だ。パッケージには本体の他、まるでCybertruckの一部のように見える65Wの電源アダプターと、パッドの底に取り付けられるマグネット式のスタンドが同梱されている。スタンドにはケーブルを通すためのスロットが開いているので、ごちゃついた感じにはならない。
スタンド前面の中央、Teslaロゴのすぐ下にはLEDの表示ランプが1つ配置されており、新しいデバイスの充電が始まった時や、問題が発生した時は光って知らせてくれる。
ついにFreePowerは、MagSafeがらみの問題の解決に成功したようだ。今のところ、筆者の「iPhone 13 Pro Max」と「iPhone 14 Plus」は問題なく充電できている。
Wireless Charging Platformのパッケージを手にした時は、開ける前からその重さに気付いた。本体は全体がアルミニウムでできており、筆者が使ったことのあるワイヤレス充電パッドの中では最も重い部類に入る。Cybertruckに通じる角張ったデザインは、ほとんどのワイヤレス充電パッドが採用しているすっきりとしたデザインや滑らかな仕上げとは一線を画すもので、万人受けはしそうにない。
また、300ドルという価格も、この充電器がTeslaの熱狂的なファンに向けた高級品であることを物語っている。この充電器に価格に見合う価値があるかは分からない。しかし、印象的なテクノロジー製品であることは確かだ。FreePowerが今後、さらに多くのプラットフォームやデザインで使えるようになることを期待している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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