グリラスは3月8日、徳島県の世界農業遺産「にし阿波の傾斜地農耕システム」認定地域内にある「田口農園 徳島」と共同で、コオロギの飼育過程で発生するフラス(コオロギの排泄物)の有機肥料としての実用化を目指す実証実験を2022年6月より開始していると発表した。
グリラスは、徳島大学発のベンチャー企業として、食用コオロギに関連する品種改良・生産・原料加工・商品開発・販売を一貫して国内で行う企業。「タンパク質危機」「食品ロス」「食料の輸入依存」といった社会課題の解決を目指し、環境負荷の低いタンパク源である食用コオロギを、食品ロス由来100%の独自配合飼料で国内生産している。
これまでコオロギの飼育過程で発生するフラスの活用は進んでおらず、生産したコオロギパウダーの約5倍の量に及ぶフラスが廃棄されていたという。
そこで、同実験では、コオロギフラスを農業用肥料として活用した際の作物の生育状況をはじめとした実地データの収集を実施している。また、フラスの実用化を通して、食品ロスと食用コオロギ、農産物をつなぐ循環型の食料システムの構築を目指す。
なお、コオロギフラスは、肥料の三大要素である窒素・リン酸・カリウムのうちリン酸を最も高い割合で含んでおり、全体の成分を見ると牛糞と鶏糞の中間程度の肥料効果が期待できるという。また、水分含有量が少なく乾燥処理が不要であり、匂いも少なく、保管や取り回しが容易なのが特徴。
加えて、同社の食用コオロギは、国内で発生した食品ロス由来100%の配合飼料を用いて飼育されているため、コオロギフラスはコオロギの餌も含めて国内資源で生産が可能。コオロギは、飼育過程で抗生物質などの添加を行っていない動物医薬品・飼料添加物フリーの有機肥料になるという。
また、2022年6月より「農園 徳島で実施している実験では、キャベツ・カボチャ・ほうれん草の生育試験を実施。従来品と同程度の生育結果がみられたことから、既存の有機肥料と類似した効果が期待できると判明している。
今後は、コオロギフラスの最適な使用法や相性の良い作物に関する知見を蓄えるべく、実証実験の拡大を予定。また、さまざまな品目で生育試験を行うことで、実用化に向けた実地データの収集を進めるとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力