神戸市は2月24日、オープンデータの利活用の一環として、国勢調査の全国版ダッシュボードを作成、公開したと発表した。
総務省が公表する令和2年国勢調査の情報をもとに、ビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Tableau」を活用して構築。神戸市のウェブサイトにある「神戸データラボ」から利用できる。国内の人口や世帯分析、通勤と通学といったさまざまな状況を閲覧可能だ。
神戸市は2022年6月、税金や住民基本台帳などの各基幹系システムから行政データを抽出、個人情報などを抽象化して共通基盤に蓄積し、神戸市の全職員がアクセスできるポータルサイト「神戸データラウンジ」を開始。
80種類ほどのダッシュボードを揃え、データに不慣れな職員でも可視化したデータにアクセスし、BIで直感的に分析、共有できるという。
神戸市企画調整局でDX担当局長 デジタル監(最高デジタル責任者)を務める正木祐輔氏は「従来行政で政策を議論する場合は、市長や局長などが閲覧したいデータを要望し、その内容の資料を職員が作成する必要があった。係長や課長などの確認後、再作成の指示が出ることも多かった」と抱えていた課題を説明。該当データを入手し、整備、分析してから資料を作成するという手順が必要で、多くの時間を費やしていたという。
神戸データラウンジ構築後は、その場でデータを見ながら直感的に操作できるため、分析業務が高速化。市長や局長もダッシュボードを操作しながら議論しており、資料作成時間を大幅に短縮、政策議論により長い時間を使えるようになったという。ダッシュボードは随時現場の職員が追加しており、現在は90種類ほどに増えているそうだ。
神戸データラボでは、神戸データラウンジで活用しているダッシュボードの一部を公開する。
今回の発表時点では第1弾として、「令和2年国勢調査(全国版)」の町丁目単位までわかる詳細版と市町村単位でわかる簡易版、また「通勤通学地分析」の3種類を公開。(1)行政職員が政策立案に用いる参考資料、(2)個人、事業者を問わずに事業の促進、(3)報道関係者の取材資料、といった利用を想定するが、アイデア次第でさまざまな活用が可能だ。
全国版ダッシュボードのデモ
第2弾として「令和2年国勢調査(全国版、産業分類編)」「平成27年と令和2年の国税調査データを使った人口移動分析」の公表も予定する。正木氏は、「他自治体の分析でも、神戸市民や神戸市に関わる方々にご活用いただければ、神戸市政をより良くすることにつながる。ただそこに留まらず、神戸市以外の自治体や政府関係者含めてさまざまな方にご活用いただき、全国のオープンデータEBPM(Evidence-Based Policy Making、エビデンスに基づく政策立案)を推進したい」と目的を説明した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス