新しいサービスやプロダクトが登場した時、法律や条例が障壁になることがある。突破するには、各省庁や議員への働きかけが必要で、業界団体を立ち上げたり、世論を醸成したりとハードルは高い。
Next Relationが提供するアウトソーシングサービス「フェアーズ」(3月1日公開予定)は、法改正や予算獲得などを通じて、新たなルールづくりをサポートする新サービス。業界団体の設立から運営、政策提言まで、行政とのコミュニケーションをサポートする。
Next Relationは、2022年8月に設立。代表取締役CEOの小野寺浩太氏は元国会議員秘書という経歴を持つ。「議員秘書だった時に、スタートアップ企業や団体から新しいサービスや商品を展開したいが、法律が障壁になってしまうという相談をいただく機会が多かった。本来であれば新市場創出や社会課題解決につながるテクノロジーなのに、規制されているがゆえに埋もれてしまうものがたくさんあった。これらを社会実装してイノベーションを後押ししたいと考えたのが、フェアーズのきっかけ」(小野寺氏)と、自身の経験から生み出したサービスだという。
「政策渉外といった担当部門を置いている企業もあるが、それは一部のみ。スタートアップでは担当する人材がいない、コスト的に見合わないなどの課題を抱えていた。フェアーズは困っている企業、人に寄り添い、ルールメイキングをサポートする」(小野寺氏)役割を果たす。
このように、企業やNPO、NGOなどの民間団体が政府や世論に対し、ルール形成に働きかける活動は「パブリックアフェアーズ」と呼ばれ、欧米ではすでに一般的なもの。「いわゆるロビー活動と言われるもので、米国では3万人のロビイストがいて、その活動費は米国のテクノロジー主要5社だけでも年間約95億円とも言われている。しかし日本ではあまり浸透しておらず、『ダーティ』などうがった見方をされてしまいがちだった」(小野寺氏)と認知度の低さからくる苦労を話す。
Next Relationは、パブリックアフェアーズの認知を高め、この活動を推し進めることで、新しいサービスや製品を社会実装に導くことが目的。「業界団体の立ち上げから、行政との連携、協業、政策動向の情報集やEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)に寄与するエビデンス開発と道のりは長い。来月の売上に直結するといった即効性のある動きではなく、数年単位の取り組み」(小野寺氏)と長い目で見据える。
すでに一般社団法人 DX不動産推進協会の立ち上げと不動産取引電子化に向けた提言やeスポーツパークを活用した行政との連携などの実績も持つ。「なんといっても重要なのはエビデンスの開発。ここはNext Relationがもっとも得意とする部分。社内のスタッフも国会議員秘書、官僚、テレビ局、代理店、コンサルティングファームなど多様なメンバーがおり、パブリックアフェアーズのプロセスを十分に把握している」(小野寺氏)とNext Relationの強みを明かす。
「今までのパブリックアフェアーズは、特定の目的をもった企業や業界団体と政策決定者の直接のつながりだけだったため、うがった見方をされていた。しかしこれからは企業と政策決定者、学術機関、世論とあらゆるステークホルダーとの最適値を導き出す役割として、パブリックアフェアーズは経営戦略上も重要になると予測している」(小野寺氏)新たな未来像を描く。
まだなじみの薄いパブリックアフェアーズだが、Next Relationでは「社会の『いいね』を増やすコト」と表現。「こんな商品やサービスがあったら『いいね』」をルールメイキングの観点から後押しする。
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