Microsoftは米国時間2月7日、「ChatGPT」を支える技術を搭載した検索エンジン「Bing」の新しいバージョンを発表した。ChatGPTは、会話型で創造的な回答を返す人工知能(AI)システムで、検索分野を長年にわたって独占するGoogleを追い抜く、初めての大きなチャンスをもたらしている。
Bingは新たに、Microsoftが提携しているOpenAIの大規模言語モデルによる情報を注入した検索結果を提示するようになり、「ウェブに対するAIコパイロット」になったと同社は述べた。Bingには、新しいチャットウィンドウも表示されて、Microsoftによると、そこで、面接の準備やトリビアクイズの作成を手伝ってもらったり、買い物や旅行のアドバイスを受けたりできるという。この技術は、同社の「Edge」ブラウザーにも組み込まれており、PDFのレポート内容を要約したり、「LinkedIn」の投稿を作成したりといったタスクを実行できる。
「コンピューターとのすべてのやり取りを、エージェントが仲介して支援する」と、Microsoftの最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏は、米ワシントン州レドモンドにある同社本社で開かれた発表イベントで述べた。「このコパイロットという概念を、すべてのアプリケーションに導入するつもりだ」(Nadella氏)
bing.com/newでは、この新しい「AI駆動コパイロット」技術のプレビュー版を、Microsoftが用意したいくつかの質問に対して試せるほか、範囲を拡大したバージョンの順番待ちリストに登録できる。同社は数週間のうちに、これを多くのユーザーに公開し、モバイルバージョンを追加する計画だ。
この技術は、長年にわたってほとんど変更されていなかった検索ビジネスにおける大きな進歩だ。Googleは、より多くの回答を同社の検索結果に融合するべく取り組んできたが、新しいAI技術と比べると、その能力は見劣りする。大規模言語モデル(インターネット上の膨大なテキストでトレーニングされたAIシステム)に基づくチャット技術は、はるかに複雑な回答や情報を提供する。
「Microsoftは、まずチャットボットアシスタントをBingに組み込むことにより、コンシューマー技術分野で存在感を高める可能性がある」と、GartnerのアナリストJason Wong氏は述べた。
検索エンジンで独占状態にあるGoogleは6日、独自のAIチャットボット「Bard」を発表し、Microsoftに対する注目をそらそうとした。Googleは、これらの大規模言語モデルの中核的なAI技術である「Transformer」を開発しており、この競争の有力候補だ。そもそも現在、情報検索のための主要サイトは、BingではなくGoogleである。
しかしMicrosoftは、この技術を自社製品に直接組み込むという点で一歩リードしたようだ。Bingの検索順位エンジンにAIモデルを組み込んだところ、「関連性が過去20年で最大の伸びを示した」と、最高コンシューマーマーケティング責任者Yusuf Mehdi氏は述べた。
また同社は、この新しいAI検索結果の横に広告を表示する予定だとMehdi氏は述べた。
分析企業Statcounter Global Statsによると、1月時点の検索エンジンシェアは、Googleが93%であるのに対し、Bingは3%だという。Googleは検索結果の横に広告を表示しているため、検索が同社最大の収益源となっている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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