VTuberやメタバースを見据えた手軽な全身モーキャプ--ソニーが「mocopi」のデモを披露

 ソニーは11月30日、新製品のモバイルモーションキャプチャー「mocopi」について、メディア向けの説明会ならびにデモンストレーションを実施した。

「mocopi」
「mocopi」

 mocopiは、独自技術を用いた小型で軽量なセンサーとスマートフォン(専用アプリケーション)のみで、フルトラッキングと呼ばれる全身でのモーションキャプチャーや、VR(バーチャルリアリティ)へのリアルタイムなモーション入力を実現する製品。まずはソニーのインターネット直販サイト「ソニーストア」で予約、購入が可能としており、予約販売の受付開始は12月中旬を予定。発売日は2023年1月下旬で、価格は4万9500円(税込)。

 説明会では、ソニー 新規ビジネス・技術開発本部 通信技術開発部門 モーション事業推進室室長の相見猛氏が登壇。開発の背景や製品の説明を行った。ちなみにmocopiの名称は「モーションをコピーする」ところからきているという。

ソニー 新規ビジネス・技術開発本部 通信技術開発部門 モーション事業推進室室長の相見猛氏
ソニー 新規ビジネス・技術開発本部 通信技術開発部門 モーション事業推進室室長の相見猛氏

 昨今注目を集めているメタバースをはじめ、3Dコンテンツが増加傾向にある。あわせてキャラクターの姿で活動する“VTuber”の業界も盛り上がりを見せており、グループ会社であるソニー・ミュージックエンタテインメントでもVTuberを発掘、サポートするプロジェクトを展開していることを説明。

市場背景
市場背景

 一方で、キャラクターの身体を動かすモーションキャプチャーとなると、相応の機器や設備などを要するため、もっと手軽にできることを目的として開発したと背景を語る。VTuberやVRSNSなどを通じたVRコミュニケーション、アニメーション制作などの活用を想定している。

 特徴としては、前述のように“手軽さ”が挙げられる。センサーとスマホだけで全身のモーションキャプチャーができるため、自宅はもとより屋外での撮影も可能。センサーは直径3.2cmで重さは8gとなっており、500円玉より少し大きい程度。これを頭と両手足、腰の6つに装着する形となっており、専用スーツなども不要となっている。

mocopiの特長(スタジオレス)
mocopiの特長(スタジオレス)
mocopiの特長(小型・軽量)
mocopiの特長(小型・軽量)
手首などにバンドで巻いて装着する
手首などにバンドで巻いて装着する

 記録したものは、MP4形式での動画や、BVH形式でのモーションデータとして保存することが可能。また、モーションデータをリアルタイムで送信することもでき、外部ソフトやサービスなどさまざまなプラットフォームで利用できる。ちなみに動作確認済のサービスのひとつで、VTuberでよく使われているとされる「Virtual Motion Capture」の開発者が、mocopiのプロジェクトにも参加しているという。

mocopiの特長(シンプル)
mocopiの特長(シンプル)
ワークフロー
ワークフロー
広がる関連アプリ・サービス
広がる関連アプリ・サービス

 デモンストレーションでは、実際にmocopiを装着して実演。セットアップでは、初回のみスマホとペアリングが必要。キャリブレーションは、基本姿勢からスマホの音にあわせて一歩踏み出す動作を行って完了する。mocopiの公式アバターである“RAYNOSちゃん”や、黒い人間らしきアバターが初期段階で入っており、所有しているアバターをインポートすることも可能となっている。

センサーの装着など、ガイドが付いてわかりやすいようになっている
センサーの装着など、ガイドが付いてわかりやすいようになっている
身長を選択し、キャリブレーションを行う
身長を選択し、キャリブレーションを行う
動きにあわせて、RAYNOSちゃんが動く
動きにあわせて、RAYNOSちゃんが動く
首をかしげているような、頭の動きに反応
首をかしげているような、頭の動きに反応
装飾のない、黒い人間らしきアバターも用意されている
装飾のない、黒い人間らしきアバターも用意されている

 基本的に、両足が地面に付いていることを前提として動きを再現するとのこと。ジャンプなど瞬間的なものは対応できるが、逆立ちや床で寝るなど横になる動きについては、モーションが崩れるという。また、遅く小さな動きよりも、早く大きな動きのほうが得意としているとのこと。ほかにも、利用者が移動した場合に、そのVR空間でも移動するように奥行のある表現も可能。スマホのマイクを通じて、喋った音声にあわせてアバターの唇が動くリップシンクも搭載している。

椅子に座った状態というものは再現できる
椅子に座った状態というものは再現できる
別の場所でのデモ
別の場所でのデモ
移動すると奥行きが感じられるように、小さくなったり大きく映し出される。ちなみにキャリブレーションした位置を基点にしているため、スマホを持って移動しても奥行きのある表現になる
移動すると奥行きが感じられるように、小さくなったり大きく映し出される。ちなみにキャリブレーションした位置を基点にしているため、スマホを持って移動しても奥行きのある表現になる

 ほかにも、VRヘッドセット(Oculus Quest 2)も使用し、VRChatで活用するものも披露。頭はOculus Quest 2のヘッドセット、両手はコントローラーを活用し、mocopiでは難しい指の動きというのも表現できる(※現状では、mocopiのセンサー6つを装着した状態でないと動作しない)。

VRヘッドセットとコントローラーを活用したVRChatでのデモ
VRヘッドセットとコントローラーを活用したVRChatでのデモ

 今後については、メタバース向けのサービスや3D開発ソフトと連携するSDKを12月15日から提供予定。また12月に開催されるテックカンファレンス「XR Kaigi2022」の出展などを通じて訴求を図っていくとしている。

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