Quest Proを「高価なおもちゃ」と笑ってはいけない理由--Metaが示す本気のロードマップ - (page 2)

 古い例えで恐縮だが、パソコンの世界で言うならばQuest 2は「Amiga」であり、Quest Proは「Apple Lisa」といったところだろうか。この2つはQuestとは異なり別の会社が開発した製品だったが、Amigaはワンパッケージでコンピュータがある生活がどのようなものか、さまざまな可能性を垣間見せてくれたエンターテインメント性の高いパソコンだった。一方、Lisaはゼロックスの研究所にアイディアの原型を認めつつも、その後、パソコンがさまざまなジャンルの業務領域に大きな変革をもたらすスタート地点となった現代的パソコンの原器とも言える存在だ。

 昔話はともかく、Metaはヘッドセットの装着性や画質、解像度などを高めた上で、オフィス環境や個人の書斎などの質を高めている。また、カスタマイズを容易とし、人の表情や手振りなどの仕草をより的確に反映させる仕組みを提供している。加えて、アバターのリアリティを高めていくことで、現在はおもにゲーム機として注目されている一体型VRヘッドセットが、オフィスで使われるようになると考えているようだ。

 ”本当に仕事をする時にVRヘッドセットを装着するの?”という疑問もあるだろう。そもそもビジネス領域も含めたメタバース事業がぶち上げられたとき、多くの人はそんなバカな、そんな空間で仕事したりしたくはないと、半分はバカにしながらニュースを見てはいなかっただろうか。

 しかし、振り返ってみれば、登場した当初は高価なオモチャにしか感じられなかったAmigaは息の長いアップデートとパソコン通信を通じたコミュニティに支えられ、現在でいうメタバースの入り口を開き、コンピュータエンターテインメントの可能性を示していた。

 LisaにしてもMacintoshにしても、あるいはIBM-PCやPC-9801にしても、その黎明期は可能性が見える一方で、まだ理想には程遠かったではないか。

 必ずしもMetaのReality Labsが示すビジョンが、全ての未来を描いているわけではないだろう。しかし一連の発表から言えるのは、Metaがメタバースという事業領域に、当時のパソコンと同様の可能性を感じているということだ。

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