KDDIとKDDIエボルバ、日立製作所の3社は8月26日、量子コンピューティング関連技術を用いて、勤務シフト作成時間を5割超短縮することに成功したと発表した。
この実証実験では、auのメッセージサポート業務を担うコンタクトセンターの勤務シフトを量子コンピューティング技術を用いて作成し、7月の実勤務へ応用した。
勤務シフトの作成は、スタッフの契約や勤務希望、スキルや時間帯ごとの必要人数の調整など、複雑な条件を満たす必要がある。KDDIエボルバの例では、100人規模の勤務シフトを作成する場合、熟練した管理者でも修正作業やスタッフとの調整を含め、約11時間を要していたという。
また、一般的な勤務シフト作成ツールを用いる場合でも、勤務条件を十分に満たすことができず、結局は人による調整作業が発生するといい、100人規模の勤務シフトの作成に20時間程度を要していたと説明する。
今回の実証実験では、組み合わせ最適化問題をQUBO(2値の2次式で表される最適化問題)で表現し、量子コンピューターを含むイグジングマシン(組み合わせ最適化問題を解くための技術)を用いて計算するための仕組みを活用。これを、日立が開発している、量子を用いず、半導体上でイグジングモデルの振る舞いを擬似的に再現する「CMOSアニーリング」技術と組み合わせて、勤務シフト作成に用いた。
その結果、勤務条件に関するデータの準備やスタッフとの最終調整も含め、KDDIエボルバ北海道地区における約100人分の1カ月分の勤務シフトを約5時間で作成できたという。工数削減だけでなく、特定スタッフに偏りのない勤務シフトの作成が可能となったといい、実際の勤務への適用後に実施した調査では、9割以上のスタッフが勤務シフトの自動作成に肯定的に回答したとしている。3社は2023年以降の実用化を目指すという。
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