ティアフォーは7月19日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から公募された「グリーンイノベーション基金(GI基金)事業」の自動運転ソフトウェアに関する研究開発項目に採択されたと発表した。GI基金の事業規模は、2022年度から2030年度までの9年間で254億円になる。
また、既存株主であるSOMPOホールディングス、ヤマハ発動機、新たにブリヂストンを加えた3社を引受先とするシリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による121億円の資金調達も実施した。創業以来の累計資金調達額は296億円。
ティアフォーは、世界初となるオープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を開発している。事業面では、労働力不足や交通弱者増加といった喫緊の社会課題と向き合い、その課題解決に資する共通プラットフォームの商用化を進めているという。
施設内物流や限定地域交通分野の顧客となる車両製造者や運行事業者が参照可能な、自動運転システムの設計(リファレンスデザイン)を提供。共通プラットフォームで各リファレンスデザインを必要に応じて拡張することで、顧客の要求に合った自動運転システムを、顧客とともに共同開発してきた。
今回調達した資金を活用し、事業加速に向けた自動運転機能のリファレンスデザイン提供を進めるとともに、3社との施策を重点的に進める。
具体的には、SOMPOホールディングスと協業し、保険やリスクアセスメント、サポートセンターを包括したアフターサービスパッケージの提供、また安心、安全な自動運転サービスに資するデータ分析基盤を開発する。
ヤマハ発動機とは、施設内物流向けの専用小型EVの増産や、国内外での本格的な商用サービスを展開。ブリヂストンとは、車両走行性能の試験および、解析を実施するという。
加えて、リファレンスデザイン提供の中核を担うソフトウェア技術の革新に向けて、GI基金も活用した総額400億円規模の開発プロジェクトを新たに立ち上げる。世界の主要な走行環境に対応したレベル4水準の自動運転機能の社会実装を目指すという。
GI基金事業は、政府が策定したグリーン成長戦略の一環として、2050年カーボンニュートラル目標に向けて総額2兆円の基金をNEDOに造成したもの。特に政策効果が大きく、社会実装までを見据えて長期間の取り組みが必要な領域が対象になるという。
また、具体的な目標と、その達成に向けた取り組みへのコミットメントを示す企業などを対象として、研究開発、実証から社会実装までを重点的に支援する事業となる。
ティアフォーは、「電動車等省エネ化のための車載コンピューティング・シミュレーション技術の開発」に係る公募(研究開発項目1:自動運転のオープン型基盤ソフトウェア)において、「Microautonomy~集合的にスケーラブルな自動運転システムの創出」を提案していた。
Microautonomyは、市場に流通するオープンな技術コンポーネントを組み合わせることにより、さまざまな環境に対してレベル4水準(特定条件下においてシステムが全ての運転タスクを実施する完全自動運転)の自動運転機能を実現する基盤ソフトウェア構想。走れば走るほど賢くなり、運行設計領域(ODD)を安全にスケーリングできるという。
経済産業省は、自動運転機能を有した電動車などの消費電力を、車載コンピュータで数千ワット、クラウドネットワーク通信まで含めると数千キロワットに及ぶと試算している。
そこで同事業では、Microautonomyの構想に沿った基盤ソフトウェアの研究開発課題を設定。最終的には、その基盤ソフトウェア上で構築されるレベル4水準の自動運転機能に対し、現行技術比で100倍以上の電力効率の達成を目指す。
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